『1億人の英語習得法』
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【毎日書評】音声?文法?語彙? 大人の英語学び直し、最初に手をつけるべきはこれだった!
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
私は、生徒数が1万人を超える英語塾を経営しています。生徒は小学1年生から高校3年生まで。入塾を希望する生徒には、英語が得意で、後に全国模試で一番になったり、奨学金を獲得して留学する生徒もいます。
他方で学習の初動でつまずいてしまい、学年で最下位、英語が原因で留年しかかったという生徒もいます。(「はじめに」より)
『1億人の英語習得法 日本人が最短ルートで英語をマスターする方法』(斉藤淳 著、SB新書)の冒頭にはこうあります。
英語が得意な生徒はともかく、苦手意識を持っているタイプにとって、効率的な英語学習をすることは切実な問題であるといえそうです。そこで本書は、「そういうふうに教わりたかった」という人たちの声に応えるべく書かれたのだといいます。
「そういうふう」とは、英語圏の小学生が学校で教わる方法論にほかならないのだとか。もちろん普段は日本語を使っている学習者向けにアレンジしてはいるものの、生徒や保護者は「これならできそう!」という手応えを感じ取っているそう。
主として大人が英語を学び直す作業を想定していますが、中高生の学習指針としても十分に役立つと考えます。この本で想定している英語力のレンジは、英検3級、中学生程度の実力からスタートして英検1級を超えて海外留学をするレベルまでです。どの学習段階でも、必ず何らかの形で参考になるヒントを提供できると考えます。(「はじめに」より)
つまりビジネスパーソンにも学生にも役立つ、実用的な一冊であるということです。
きょうは外国語学習の基本的な考え方を確認するべく、第1章「大人の英語『学び直し』で大事なこと」に焦点を当ててみることにしましょう。
「学び方の世代間ギャップ」は、いまからでも埋められる
英語を学んだ環境は、世代によって大きく違うもの。まず時代の流れに伴って教える内容が変わると、教える側である教師の英語の知識やスキルも上がっていくことになります。したがって、その教師から学ぶ生徒たちの英語力も底上げされることになるのです。また現在は、英語学習アプリや無料動画配信サービス、さらには生成AIなど、使い方次第では有用なサービスも少なくありません。
そんななか現代の子どもたちは、恵まれた学習環境を当たり前のものとしながら英語を学んでいるわけです。だとすれば、世代間ギャップが生まれるのは当然の話。英語が苦手なのは、決して「英語を6年間も勉強したのに英語を話せない自分のせいではない」ということにもなるでしょう。
問題は、その6年間にどんな教材が使われていたか。どれくらいの知識とスキルを持つ先生に教わってきたか。英語が苦手なのは、苦手な個々人のせいではなく、その人たちが英語を勉強していたころの日本の英語教育や英語教材が、まだ未熟だったからということです。
つまり、しっかりアップデートされた教材を使って学び直し、かつて自分の世代が英語を学んでいた頃に足りなかったところを補完すれば、誰でも、いつからでも、いくらだって英語を習得することができます。(19〜20ページより)
苦手意識が先に立ってしまうかもしれませんが、英語はそもそも単なる言語。そしてどんな言語にも、ルールや法則性があるものです。音と文字のルール、文法のルール、表現のルールなどを地道な反復練習によって体得し、場数を踏んで使う練習をすれば、誰でも言語を習得できるのです。(18ページより)
大人には大人の「学びなおし方」がある
ただし、大人と子どもとの間に差があるのも事実。子どもは脳が柔らかく吸収力が高いため、みるみる言語を身につけることができます。しかし相対的に音声の吸収能力が衰えてしまった大人の場合は、そうもいかないでしょう。
とはいえ、希望を失う必要はないようです。
大人には大人の言語習得法がある。大人は大人の脳に合った方法で学んでいけばいい。それだけのことです。やみくもに学び直すのではなく、「大人の学び直し」には戦略が必要であるという話なのです。(20〜21ページより)
大人の学びなおしは、“音声の基礎”を固めるところから入ったほうがいいと著者は指摘しています。1980年代までに生まれた世代は音声面の基礎が弱く、それがボトルネックになった人が非常に多いというのです。
英語音声のルールを知らないだけでなく、音声に触れた絶対量が不足しているため、まずは音声のやりなおし作業をするべきだということです。また、英語を学んでから時間が経過していてさびついている知識も多いので、「語彙力」や「文法」を学びなおすことも大切。
対する2000年以降生まれの世代は、学校での英語教育が文法学習を軽視する方向に流れてしまう一方、音声の基礎が不十分なまま、ひたすら会話の練習を繰り返してきた可能性があるようです。
つまりはそれほど、世代によって大きな差があるわけです。
また、どの世代にも言えることですが、単純に「いい加減に楽しむ」分量を増やしながら、気楽に実力を高めていくことが、実は近道だったりします。(23〜24ページより)
そういう意味で「リーディング」には、英語力向上に長期的に貢献するであろうヒントがあるのだといいます。
このように本書は、世代ごとに該当するウォッシュバック効果(筆者注:テストがその後の学びに大きな影響を与えること)と英語学習の技術環境という、その世代に属する人は誰でもそこに閉じ込められていたであろう条件を考察し、逆にそこから考えられる言語学習上の弱点を診断し、これを克服するための処方箋を出そうという試みです。(23ページより)
ちなみに「現在の自分の英語力を客観的に把握したい」という方のために、英検とTOEICという身近な試験の活用法も紹介されています。(20ページより)
最初から順番に読み進めていったほうが理解しやすいように書かれているものの、章ごとにつまみ食いしても問題ないそう。英語学習のきっかけをつかむため、積極的に活用したいところです。
著者紹介:印南敦史
作家、書評家、音楽評論家。1962年東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」「qobuz」などにもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。@innamix/X
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Source: SB新書


























