ただ「否定しない」だけ。なのに、なぜかチームがうまく回りだす魔法の習慣

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リーダーの否定しない習慣

『リーダーの否定しない習慣』

著者
林 健太郎 [著]
出版社
フォレスト出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784866803357
発売日
2025/08/08
価格
1,760円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】ただ「否定しない」だけ。なのに、なぜかチームがうまく回りだす魔法の習慣

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「部下がなかなか動いてくれない」とか「報告が遅く、判断も甘い」、あるいは「会社の求めている仕事を理解してくれない」など、部下に対するイライラを抱えながらチームを率いているリーダーも少なくないはず。

リーダー育成家、エグゼクティブ・コーチである『リーダーの否定しない習慣』(林 健太郎 著、フォレスト出版)の著者も、そのような悩みを抱えた多くのリーダーの姿を目にしてきたのだそうです。

本来であれば、部下には自発的に行動してほしいし、どんどん成長してほしい。プロとして緊張感のある、それでいて風通しのよい組織にしたい。チームに一体感があり、各人がやるべき仕事を遂行し、成果も出せる。

リーダーであれば誰しも、部下やチームをそんな状態にしたいと願っているのではないでしょうか?

本書はそういった方々のために書かれているわけですが、特徴的なのはその方法論が「否定しない習慣をベースにした『否定しないマネジメント』であること。

でも、それはどのようなものなのでしょうか?

「否定しないマネジメント」とは、私がこれまで2万人以上のリーダーを指導し、コーチング、研究してきたなかで見出したコミュニケーション手法であり、チームマネジメントの手法。

こういうと難しいことのように思うかもしれませんが、やるべきことはシンプル。

それはただ「相手のことを否定しない」ということ。文字通り、相手の存在、言葉、行動を否定しないという考え方をマネジメントに組み込むことです。(「はじめに」より)

この方法は、“人がついてくるリーダー”が無意識にやっていることなのだといいます。だとすれば、ぜひともそれを知りたいところ。きょうは第4章「部下を否定しないで『伝える技術』のなかから、いくつかのポイントを抜き出してみたいと思います。

「ほめる」よりもポジティブフィードバック

「相手のモチベーションを向上させたいなら、ほめるべき」というような話を聞く機会は少なくないでしょう。しかし、それを実践しようとしてタイミングを誤り、必然性のないときに意味もなく部下をほめたりすると太鼓持ち(盛り上げようと、ほめて持ち上げる人)のようになってしまうかもしれません。

ここでのポイントは「褒める」努力をするのではなく、相手の状態を客観的に伝える言葉を使うこと。相手の行動に目を向けて、たとえば次のように声をかける。

「予定通りに進んでいるね」

「その調子」

「いい感じに見えているよ」

このように、中立的で、ポジティブな言葉を使いましょう。(148〜149ページより)

「ほめよう」と構える必要はなく、もっとシンプルに中立的かつ観察ベースの声かけを増やすべきだということ。それだけで「みてもらえている感覚」が生まれ、日々の安心感につながるわけです。

「リーダーから承認されている」「ちゃんとみてもらえている」と感じることは、部下のモチベーションを自然に高めていくためにはとても大切な要素。

もし、やることなすことうまくいっていなかったとしても、努力していることやがんばっていることに目を向けるのです。(148ページより)

「小さなひとこと」で伝える技術

否定しないリーダーを目指すうえで、もうひとつ重要なのが「気遣い」。

ただしそれは、過剰な気配りや、相手に媚びること、部下やメンバーに擦り寄ろうとする態度を意味するものではありません。リーダーがそのような態度をとると、部下は逆に戸惑い、距離を置くようになってしまうので注意が必要。

「すり寄る」というよりは「寄り添う」というイメージをしてみてください。

私のおすすめは、「期待を込めた、さりげない一言や行動」です。

朝、すれ違ったときに「今日のプレゼン、楽しみにしてるよ」と一声かける。

帰り際に「おつかれ。あれ、助かったよ」と一言添える。

何かトラブルが起きたとき、「君ならきっと考えてくれると思っていたよ」と、さりげなく伝える。(152〜153ページより)

こういった“なにげないことば”のほうが、部下の心に深く残るわけです。なぜなら、リーダーにとっては「割愛してもいいことば」だったとしても、部下には「見てもらえている」「信じてもらえている」という安心感につながるものだから。その“見守られている実感”が、日々の意欲や挑戦を支えるエネルギーになるということです。(152ページより)

便利なひとこと「いま、どんな感じ?」

リーダーと部下やメンバーとの信頼関係をつくるために必要なのは、細かなコミュニケーション。

とはいえ、雑談をしなければいけないということではないようです。もちろん雑談も効果的ではありますが、「雑談は苦手」という人もいるでしょうし、どんな雑談をするべきか考えることが億劫だと感じることもあるかもしれません。

むしろ大切なのは、ちょっとした声がけ。そこで効果を発揮するのが、「いま、どんな感じ?」といったシンプルな声がけだといいます。

この声がけは適度に曖昧であるため、仕事面のみならず、プライベートに関する話題、体調やメンタル、悩みごとなどさまざまなことがらに使えるはず。

この声がけをすると、もし、部下がプレゼンテーションの提案書の作成を進行中なら、「はい。A社への提案書、順調に進んでいます」などと、勝手にこちらが知りたいことについて回答してくれたりします。

要は、相手が話したいこと・話せることを話してくれるのです。これが良い会話のきっかけになります。(157ページより)

もちろん、ときには確認が必要なタイミングもあることでしょう。しかし、こういった何気ない、雑談にもならないちょっとした会話や声がけを増やすことも大切だということです。

そうした会話は、生産性に直結するわけではないかもしれません。とはいえ、この程度のふわっとした声がけが、部下の「あ、気にかけてもらえてるんだな」という意識につながっていくわけです。(155ページより)

本書で明らかにされているメソッドを実践すれば、チームメンバーとのコミュニケーションや関係性はもちろんのこと、部下の成長、成果などが劇的に変化していくはずだと著者は断言しています。仕事のしやすい環境をつくるためにも、参考にしてみてはいかがでしょうか。

著者紹介:印南敦史

作家、書評家、音楽評論家。1962年東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」「qobuz」などにもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。@innamix/X

Source: フォレスト出版

メディアジーン lifehacker
2025年8月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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