『天才望遠鏡』
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【聞きたい。】額賀澪さん 『天才望遠鏡』
[レビュアー] 三保谷浩輝

額賀澪さん
■10周年「いいもの書けた」
天才を取り巻く人々を巡る連作短編集。文芸誌で順次掲載したものに書き下ろしを加えた全5編で将棋、フィギュアスケート、歌、馬術競技、小説の世界を舞台に天才の光と影を描いた。
14歳で将棋のプロ入りを決め、天才中学生棋士と称される明智は、プロ初戦でかつて天才中学生棋士と呼ばれた座間六段と対戦する(「星の盤側」)。フィギュアスケート選手のレイナは、冬季五輪で金メダリストになって3年。引退もささやかれる中、パリ留学中の幼なじみ、律のもとを訪れて心情を明かす(「妖精の引き際」)。
天才をテーマにしたのは編集者の提案だが、「スポーツや音楽の小説を書いてきて、天才といわれる人に魅せられてきた部分もあった。同時にいかに世間が天才を勝手に扱うかも見えた」。例えば、自身と同じ年齢の浅田真央さんには「活躍は励みになり、期待もしますが(自分と比べ)まぶしすぎて見るのがつらい面もあって複雑」とも。
天才の持つ側面を一話一話描き、天才とは何かの答えを導いたのが書き下ろしの第5話「星原の観測者」。作家の星原は大ヒットこそないが、人当たりがよく堅実。同期デビューの釘宮は大人気作家だが偏屈で横暴。対照的な2人が交友し、釘宮は星原を天才と評する。星に1等星、2等星とランクをつけるように、天才は人から才能を〝観測〟されて天才になるのだと。
「才能があっても光が当たらない人、才能が見つかるルートや選択肢を奪われている人も多い。結局は周り次第なのだから(気にせず)自分や周囲の人の個性や長所を見つめ続けてほしい。最後にそこにたどり着いて、いいものを書けた気分で終われた。折を見て振り返る作品になった」
今年、デビュー10周年。「1年ずつ振り返るとしんどいことが8割でも、10年でみると楽しく作家業をやってきたと思う。正直これ以上楽しいことがない。ただ、今は世の中、下りのエスカレーターなので(現状維持のつもりで)立ち止まっていたら降りるばかり。力強く上に歩き続けたい」と、意気込みを語った。(文芸春秋・1760円)
三保谷浩輝
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【プロフィル】額賀澪
ぬかが・みお 小説家。平成2年、茨城県生まれ。日本大芸術学部文芸学科卒。平成27年、「ウインドノーツ」で松本清張賞、「ヒトリコ」で小学館文庫小説賞を受賞。他に『タスキメシ』『転職の魔王様』など著書多数。


























