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「目より先に手が肥えることはない」……ラランド・ニシダさんが薦める文章の本
ラランド・ニシダさん(お笑い芸人)のポケットに3冊
〈1〉『文章教室』八木義徳著(中公文庫、1320円)
〈2〉『君たちはどう生きるか』スタジオジブリ、文春文庫編(文春ジブリ文庫、1430円)
〈3〉『私小説 作家は真実の言葉で嘘をつく』金原ひとみ編著(河出文庫、1100円)
わたしが文章を書くようになったのは、五年ほど前。その時分には文章教室と名の付く本を読み漁(あさ)っていた。しかし、〈1〉は多少毛色が違う。あとがきによれば、もとは「名文鑑賞」という表題の連載だったらしく、川端康成から小林秀雄まで、小説のみならず様々な名文の味わい方を説く。目より先に手が肥えることはないとわたし自身、この五年で痛感してきたからこそ、意義のある本であるように思った。
「君たちはどう生きるか」という映画に対してわたしは正直、分からなさを多分に感じていた。三度見たが、映画の中の出来事を一つの通念やテーマに統合できなかった。〈2〉は同作に関する多数の映画評や、声優を務めたキャストへのインタビューなどが収録されていて非常に豪華。中でも監督の宮﨑駿氏が書いたアニメーションの企画書、メインスタッフへの作品説明がわたしの目を引いた。これさえ読めば。そう思っていたが、文章として意味内容は理解できても、その行間には簡単に読み解けない暗号がちりばめられている感じがした。
〈3〉は様々な著者の書く私小説をまとめた一冊。自らを主人公に落とし込む私小説というジャンルに従いつつも、ジャンルを問い直さんとするような筆力がどの作品にも溢(あふ)れている。ライフステージの変化を具(つぶさ)に捉えて描いてきた金原ひとみさんだからこその本のように思う。=寄稿=























