『なぜ週刊誌だけがスクープを連発できるのか』
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タブーを打ち壊すアウトサイダーの業と執念
[レビュアー] 碓井広義(メディア文化評論家)
週刊文春(以下、文春)のスクープ記事が注目されるようになったのは2016年頃からだ。今や「文春砲」という言葉も定着し、話題になることが多い。赤石晋一郎『なぜ週刊誌だけがスクープを連発できるのか』は、文春などで15年にわたり取材を続けてきた著者が「現場のリアル」を率直に語った一冊だ。
主に3つの事例が紹介されている。冒頭は「ジャニーズ崩壊」だ。ジャニー喜多川による少年への性加害問題は、英国のBBCが報じたことで大きく動いた。それまで日本の大手メディアはタブーとして黙殺していたのだ。特にジャニーズ事務所と取引関係にあるテレビ局など問題外だった。
文春は1999年から翌年にかけて14週におよぶ「キャンペーン報道」を行った。週刊誌にとって「タブーが存在するということは、スクープを書けるということを意味する」と著者。重要なのは「徹底取材で全体構造を明らかにすること」だ。他に「松本人志スキャンダル」や「フジテレビ問題」といかに対峙したかが明かされる。
本書で注目すべきは、週刊誌記者という「アウトサイダー」が持つ独自の視点と取材手法だ。テレビや新聞が沈黙する中、週刊誌が果敢にスクープを打ち出す背景には、記者個人の「業」や「執念」がある。原動力は好奇心と社会への違和感だ。しかし、彼らは単なる「正義の味方」ではない。ある時は孤独に、また組織と対立しながら、真実を掘り起こしていく。


























