『信頼される人の話し方 軽く見られる人の話し方 言葉×声×メンタルの掛け合わせで人を惹きつける』
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【毎日書評】なぜか軽く見られる人、一瞬で信頼される人。その差は「話し方」の4つの習慣にあった
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『言葉×声×メンタルの掛け合わせで人を惹きつける 信頼される人の話し方 軽く見られる人の話し方』(司 拓也 著、KADOKAWA)の著者は、保険会社に勤務していたころにつらい思いをしたようです。
代理店の担当者に説明をした際、話し方について「誠意が感じられない。信用できない」といわれたというのです。
そこで自分の話し方を録画し、客観的に見てみたところ、「声がこもって聞きづらい」「表情が暗く、不安そう」「猫背で存在感が薄い」「落ち着きがない」「緊張のため早口になってしまう」など、数々の問題を見つけることに。
さらに、重要なことにも気づいたそうです。
私自身の「伝え方」そのものが、相手に「この人間は軽んじてもいい」という誤ったメッセージを送っていたのです。
その原因を突き詰めると3つの要素が複雑に絡み合っていることに気づきました。
それこそが、本書の核となる、信頼の3つの鍵――。
「言葉」×「声」×「メンタル」だったのです。(「はじめに」より)
この3つの歯車が噛み合っていなかったからこそ、ことばは届かなかったということ。そこで本書では、自身が苦い経験から学び、身につけたメソッドを集約して体系的にまとめているわけです。
第2章「信頼される人の話し方には型がある」のなかから、いくつかを抜き出してみましょう。
議論をリードするには
信頼される人は 「定義を揃えて」から議論を始める
軽く見られる人は 「各自の解釈」のまま永遠に噛み合わない
(60ページより)
議論をする際に話を聞いてもらうことは、なかなか難しいもの。しかし著者によれば、議論をリードする人は最初に「ことばの定義」を確認するのだそうです。
たとえば、「効率化といっても、いろいろありますよね。そこで今回は『同じ成果を半分の時間で出す』という定義で話しませんか?」というように、全員の定義を合わせる。そうすれば、建設的な議論が可能になるわけです。(60ページより)
数字の扱い方
信頼される人は 数字に「ストーリー」を込めて記憶に刻む
軽く見られる人は 数字を「ただの数値」として垂れ流す
(64ページより)
報告をする際、「売上は先月比110%でした。以上です」というような伝え方では相手にスルーされて当然。「数字は客観的な事実なのだから、説明は不要」と考えるのではなく、“なぜそうなったのか?”“だからなにをするべきか”というストーリーがあってこそ、数字は相手の記憶に残り、行動を引き出す力となるのです。
信頼される人は「数字の3層構造」での報告を実践しています。
1.What(何が)、2.Why(なぜ)、3.So what(だから何)。この3層で語ることで、数字は単なるデータから、組織を動かす「インテリジェンス」に変わります。(60ページより)
数字を武器にする人は、必ず「意味・背景・次の行動」の3セットで語るということ。数字を単なる「結果」ではなく、次を動かす「エンジン」として使っているのです。(64ページより)
頼みごとのポイント
信頼される人は 先に「ゴールと地図」を渡して安心させる
軽く見られる人は 「いい感じでよろしく」の一言で部下を迷子にする
(68ページより)
「この件、いい感じでやっておいて」というような曖昧な指示は、相手を苦しめるもの。いわれたほうは何度もやりなおすことになる場合もあるため、時間が無駄になり、モチベーションが低下し、いわれた相手への不信感などにつながるのです。
一方、信頼される人は、指示や命令の際に「GPS」を意識するのだそうです。
Goal(ゴール):何を達成すべきか
Process(プロセス):大まかな進め方
Schedule(スケジュール):いつまでに
(69ページより)
この3点セットで伝え、依頼する相手が迷わず進めるように「カーナビ」と「ゴール」を示すのです。
「ゴールは〇〇。そのためにはまず△△を調べて、金曜午前に途中経過を見せて」というように示せば、相手は安心して全力疾走できるわけです。
相手に時間をもらうとき
信頼される人は 「〇〇の件で2分いいですか?」で相手をリスペクトする
軽く見られる人は 「ちょっといい?」で相手の集中を破壊する
(72ページより)
「ちょっといいですか? 実は……」と、集中している人に無遠慮に話しかけるのはエチケット違反。一度邪魔が入ると、もとの集中状態に戻るのは大変だからです。
信頼される人は「2W1H話法」を実践しています。
What(何の件か):要件を明確に
Why(なぜ今か):緊急度を示す
How ling(どれくらいか):所要時間を約束
(64ページより)
「A社のクレームの件で、緊急案件なので2分お時間いただけますか?」というような配慮が、相手との信頼関係に好影響を与えるわけです。(72ページより)
本書は、著者の20年以上にわたる試行錯誤と、数多くの指導経験に基づいた実践プログラムなのだそう。うまく伝えられずに悩んでいる方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
著者紹介:印南敦史
作家、書評家、音楽評論家。1962年東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」「qobuz」などにもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。@innamix/X
Source: KADOKAWA


























