「日本語は、3と5と7の組み合わせがベスト」……名作詞家の贅沢(ぜいたく)な講義

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク
  • 松本隆 言葉の教室
  • 木挽町のあだ討ち
  • 小説作法の奥義

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「日本語は、3と5と7の組み合わせがベスト」……名作詞家の贅沢(ぜいたく)な講義

[レビュアー] ニシダ(お笑い芸人)

ラランド・ニシダさん(お笑い芸人)のポケットに3冊

〈1〉『松本隆 言葉の教室』延江浩著(ちくま文庫、880円)

〈2〉『木挽町のあだ討ち』永井紗耶子著(新潮文庫、781円)

〈3〉『小説作法の奥義』阿刀田高著(新潮文庫、693円)

 〈1〉は作詞活動55年記念として文庫化された一冊。音楽から離れた文字として松本隆氏の詞を読み、なぜその詞が生まれたのかの原体験を辿(たど)っていく。また作詞家としてのテクニックについても書かれている。

 「日本語というのは結局、3と5と7の組み合わせがベストなんです。それが快感法則」。このテクニックを“赤いスイートピー”を例に解説していただけるなんて、なんと贅(ぜい)沢(たく)なことか。

 わたし自身時代小説はあまり読んだことがない。何(な)故(ぜ)なら難しそうだから。しかし〈2〉は歴史の中にいる人々の姿を映し出し、なおかつミステリー的な要素が掛け合わさっている。けして難しくない。芝居小屋が並ぶ木挽町で起きた仇(あだ)討(う)ちについて語りを追っていくインタビュー形式の小説である。

 読み進めるうちに仇討ちの真相輪郭が露(あら)わになり、また語り手たちの人生にもフォーカスを合わせる。重層的に組み立てられた物語が、読む人の胸の中に江戸の町を立ち上げていく。

 前回も小説指南書的な本を挙げさせていただいたが、今回もである。〈3〉は著者の作家生活を顧みながら、どのように作品を産み出してきたのかを書いたエッセイ風の一冊。

 そこから読み取れる奥義は、やはり真(ま)似(ね)出来ないものも多いが、だからこそ本質が語られているようにも思う。=寄稿=

読売新聞
2025年10月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク