『STOP OVERTHINKING』
- 著者
- ニック・トレントン [著]/児島 修 [訳]
- 出版社
- ダイヤモンド社
- ジャンル
- 社会科学/社会科学総記
- ISBN
- 9784478120439
- 発売日
- 2025/08/28
- 価格
- 1,870円(税込)
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
【毎日書評】嫌なことばかり、くよくよ「考えすぎ」から抜け出すシンプルな習慣
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
2021年にアメリカで刊行された『STOP OVERTHINKING ── 思考の無限ループを抜け出し、脳が冴える5つの習慣』(ニック・トレントン 著、児島 修 訳、ダイヤモンド社)は、世界39か国で翻訳された世界的ベストセラーの日本語版。
「オーバーシンキング(Overthinking)」とは「考えすぎ」のことで、つまりはネガティブ思考でくよくよ考え続ける「思考の無限ループ」から抜け出せず、必要以上に「不安」や「恐れ」を抱きすぎることを指すようです。
たしかに私たちは、日常的に多くのストレスにさらされており、些細なことを気にして何度も考えてしまったりするもの。しかしネガティブ思考を続けているとストレスがたまり、よりよい人生を歩みづらくなります。だからこそ、「考えすぎ」を解消する方法を知っておくべき。
そこで本書では、科学的な裏づけに基づいた“「考えすぎ」をやめるための方法”を厳選し、わかりやすく紹介しているのです。ちなみに著者が提唱する「脳が冴える5つの習慣」とは次のとおり。
1 ストレスを管理する(第1の習慣)
2 時間を管理する(第2の習慣)
3 心と体を瞬時に落ち着かせる(第3の習慣)
4 思考や行動を変える(第4の習慣)
5 「態度」を変える(第5の習慣)
(「訳者解説」より)
非常にシンプルですが、考えすぎや不安、ストレスに対処するにはこの5つさえ知っておけばいいのだとか。そうすれば、どんなストレスや不安に悩まされても、心と落ち着かせて賢く対処できるようになるというのです。
きょうは【第1の習慣】「ストレスから自動的に抜け出す技術」のなかから、「4A」に関するトピックスを抜き出してみたいと思います。
ストレスマネジメントに効く「4A」とは
著者はここで、ストレスマネジメントの重要性を説いています。ただし、それはストレスを完全に取り除くことではなく(そもそも、それは不可能なこと)、ストレスに対して鈍感になったり、ストレスから目をそらすことでもないようです。
ストレスマネジメントとは、「不安」を招く解釈や意味づけを加えずに、ストレスの対象を客観的に「認識」すること。そうすれば、避けられないストレスに対して、自分のとるべき行動を冷静に選べるわけです。そして、その際の重要な選択肢として「4A」のテクニックが紹介されています。
ミネソタ州の総合病院メイヨー・クリニックによって提案されたもの。不安に対するシンプルかつ体系的なアプローチを知っていれば、ストレスや考えすぎから自分を守ることができるというのです。
「4A」とは、「回避(Avoid)」「変更(Alter)」「受容(Accept)」「適応(Adapt)」のこと。ストレスに対処するためには、この4つだけを覚えておけばいいのだそうです。それぞれを確認してみましょう。(54ページより)
【回避】不要なストレスを避ける
まず1番目は、不要なストレスを避けること。いかにもシンプルですが、ストレス要因のなかには、容易に遠ざけられるものが多いのだそうです。
ストレスは、心のエネルギーや集中力、時間を容赦なく奪う。必要以上に何かに時間を取られているなら、「NO」と言うべきだ。
To Doリストから、重要でも緊急でもない優先順位が低いものは削除しよう。(59ページより)
たとえば、誰かに任せられるものは自分で全部やる必要はないのです。「これはストレスになりそうだ」と感じたら、「この状況そのものを避ける方法はないか」と自問してみることが大切なのです。(57ページより)
【変更】ストレス要因を変える
もしどうしても避けられないのだとしたら、ストレス要因を変える(変更)方法を探ってみることも重要。たとえば誰かの言動がストレスになっているなら、相手にそれを変えてもらうよう頼んでみるのもひとつの方法かもしれません。
一人で悶々と苦しむのではなく、相手にきちんと要望を伝える。友人の何気ない冗談に傷ついているなら、相手にしっかり伝えよう。
そうすれば、たった一声伝えるだけでやめてもらえるかもしれない(少なくともいつまでも悩み続ける必要はなくなる)(59〜60ページより)
まずはストレス要因を「避け」られないか考え、ダメなら「変更」する方法を探ってみるべきだということ。(59ページより)
【受容】ストレス要因を受け入れる
どうしてもストレス要因を変えられないなら、それを受け入れることも大切。でも、どうやって嫌な状況を受け入れればいいのでしょうか?
まず、嫌いなものを好きになる必要はない。ストレス要因を「受容」するとは、自分の素直な気持ちにウソをつくことではない。嫌な気持ちになってもいいと認めることなのだ。(61ページより)
自分の感情に目を向け、それを受け止めるということ。大事なのは、「許すのは相手のためではなく、自分のためである」ことを知っておくこと。許すことでストレスから解放され、相手を責めるエネルギーを節約できるのです。
【適応】ストレスのある状況に自分を合わせる
ストレスに適応するとは、自分を強くする方法を見つけることである。
それは自分の支えになる視点を身につけることだ。
たとえば、その日にあった良いことを記録する「感謝日記」をつけてみる。
毎日、「私は強い人間だ。逆境を乗り越えられる」と心の中で念じたり、唱えたりしてもいい。(63ページより)
力強い態度やアイデア、信念、インスピレーションなどの武器があれば、「自分はストレスに対処できる」と信じながら生きていけるということです。(62ページより)
本書は、一度読み終えたらそれで終わりという本ではないそう。何度も読み返し、有効なテクニックを繰り返し実践していくことで最大限の恩恵を受けられるというのです。つまり、「困ったときのガイドブック」として活用できるわけです。生きていくうえでは避けられないさまざまな障害に対処するために、ぜひとも活用したいところです。
著者紹介:印南敦史
作家、書評家、音楽評論家。1962年東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」「qobuz」などにもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。@innamix/X
Source: ダイヤモンド社


























