『その<男らしさ>はどこからきたの?』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
男磨きのゴールは「爆美女を抱く」?
[レビュアー] 渡邊十絲子(詩人)

※画像はイメージ
ネットの記事を調べるときなどは山のような広告をかきわけて記事を探すことになるが、広告のほとんどがおじさん向けで驚く。頭の毛を増やせ、贅肉をおとし筋肉をつけろ、勃起不全は男の恥、いまからでも保険に入れ。なんでこんなにおじさんを脅迫する広告ばかりなのか。
小林美香『その〈男らしさ〉はどこからきたの?』を読んでみて、男性脅迫の多様さに、さらにため息。通勤時、一瞬で視界から去るポスターでも、無意識のなかに何かを蓄積していく。広告の描く、スーツ姿・鍛えられた身体の男性こそが唯一の「デキる男」像として人々の無意識に刷り込まれ続けるのは、だいぶしんどいことではないか。男性の行動原理の根本は「モテたい」気持ちだとよく言われるが、本当はそれよりも落伍者となることへの不安だろう。漠然とした、しかし根強い不安が、食い物にされているのである。
さらにこの本はネット上の「男磨き界隈」の動きにも注目する。筋トレはもちろん、ヘアケアやスキンケアも鍛練の一環のように見なされ、できていないと責められる。本来「ケア」とは自他を癒すためのものなのに。
男磨き界隈では「爆美女を抱く」ことがゴールらしいが、自信があり満足している人は見知らぬ他者からの承認など必要としないはず。現実的ではないトロフィーを追えば現実を見失うのでは? 男も女も、理想の自己像は自分で決めたいけれど、難しいですね。

























