『なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣』
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【毎日書評】敵か味方か、正しいか間違いか… 生きづらさを感じる『ゼロ100思考』を手放す習慣
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
誰しも、いい人間関係を構築したり、仕事で成果を出したりできるようになりたいもの。しかし、それはなかなか難しくもあります。
では、どうすればいいのでしょうか?
『なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣』(藤本梨恵子 著、明日香出版社)の著者によれば、ポイントは心の新陳代謝をよくすること。そして心の新陳代謝を上げるには、①出す②入れる③巡らせるの3つが重要だというのです。
まずは①。嫌な出来事が起こっても、ネガティブな感情やストレスをためることなく排出できれば、いい気分でいられるということ。②は、心にポジティブな考え方や心地よさを取り入れ、リラックスすること。そして③は、心の免疫力を高め、ストレスに強くなること。
まとめるとネガティブな感情を排出しストレスを溜めない。良い考え方を取り入れてリラックスする。気分の良さを循環させて上機嫌を保つ。これが心の新陳代謝を良くするコツです。
続けると、上機嫌でいられます。(「はじめに」より)
また、余裕があれば④体質改善を行うこともいいそうです。たとえば、怒りっぽい、不安になりやすいなどの傾向があるなら、そうした感情を抱く原因を知り、心理学のアプローチでケアや対策をする。そうすれば穏やかで気分のよい状態をつくれるというわけです。
いちばん怖いのは、自覚症状のないまま事態が悪化してしまうこと。そうならないようにするためには、日常のちょっとしたイライラや不安などの変化に気づき、ケアすべきなのでしょう。それができれば大きなトラブルもなく、機嫌よく過ごせるのですから。
「気分よく過ごすためにできる簡単なこと」を紹介した本書のなかから、きょうは第2章「モヤモヤを『出す』編」に焦点を当ててみたいと思います。
完璧主義を手放す
「完璧にしなければ……」と、つい肩に力が入ってしまうようなことは誰にでもあるもの。しかし、楽しめる程度の緊張であるならともかく、実力を発揮できず、不自然な振る舞いになってしまったのではうまくいくはずもありません。
しかも完璧な人は、威圧的で近寄りがたくもあります。むしろ、隙があるくらいのほうが人間らしく、愛されやすいはず。自慢話ばかりする人よりも、失敗談を語る人が信頼されるのはそのためです。
アメリカの思想家、ラルフ・ワルド・エマーソンは「完全を求めることは、人間の心を悩ませるこの世で最悪の病である」と言っています。
完璧を求めて、緊張し、個性が消えてしまうくらいなら、自然体のあなたでいる方がいいのです。自分も周りの人も気分よく過ごせます。(39ページより)
つまりは、「自分らしさという凹凸」を受容することが大切なのです。(38ページより)
オセロ思考を卒業する
「白黒はっきりさせたい」ということに強い執着を持つことを、「白黒思考」と呼んだりします。ゼロ100思考とも呼ばれますが、白か黒か、全か無か、好きか嫌いか、正しいか間違いか、敵か味方かなど物事を極端に捉え、曖昧さを許せないと感じてしまうわけです。
しかし、つねに勝ち負けにこだわったり、人間関係を敵味方に分けたり、他人の些細なミスも許せないなどの傾向を持ったままでは生きづらさを感じてしまうことになります。
白黒はっきりさせないと気が済まないのは、人間にとっては曖昧さを許すほうが難しいから。わからないことはコントロールしづらく、危険と感じやすいのです。したがって、「あの人は、いい人かもしれないし、悪い人かもしれない」と葛藤するより、「あの人は敵」とラベルを貼ってしまうほうを選びがちだということ。
心理学では、はっきりしない状況や予測できない事態でも過度に不安を感じず、中途半端なまま物事に対応できる力のことを「曖昧さ耐性」といいます。
「曖昧さ耐性」の高い人=曖昧さを受け入れることができる人の方が、ストレスに強く、幸福度が高いという研究結果が出ています。(44〜45ページより)
たしかに曖昧さ耐性が高いほうが、不確実な状況を新たなアイデアや解決策を生み出すチャンスと捉えることができるはず。そのため積極的に挑戦し、過度に不安になることなく冷静に対処できるわけです。
「曖昧さ耐性」を高めるには、自分ならこの中途半端な状態でもなんとかなるという自分に期待する「効力期待」と、この仕事は成果はでないかもしれないけど、自己成長につながる、などといい結果になることを期待する「結果期待」が大切です。(45ページより)
また、「絶対に」→「なるべく」、「〜に違いない」→「かもしれない」など、断定的な口調を柔軟性のある口癖に変えることも効果的だといいます。(44ページより)
怒りの初期消火をする
火事には「初期消火の3原則」があります。「早く知らせる・早く消火する・早く逃げる」です。
私が考える人の怒りの初期消火の3原則は「①逃げる・②消火・③防火」です。(48ページより)
イラっとするようなことを相手に言われた場合などには、一度その場を離れる(①逃げる)と、冷静になれるためうまく対応できるわけです。
また、「なぜ、こんなことを言われなければならないんだ」と考え続けるのは火に油を注ぐ行為。そこで意味を持つのが②消火。相手を非難するよりも、まずは自分の怒りの火を消すことに集中すべきなのです。
最後の③防火とは、冷静なときに腹を立てにくい状況をつくること。著者によれば、「電車で足を踏まれた=10点」「上司に理不尽なことで怒られた=50点」というように、怒りを数値化することが効果的であるようです。そうすれば、「いま起こった出来事は5点程度で取るに足らない」などと判断でき、些細なことに感情を揺さぶられなくなるからです。(48ページより)
心の健康は、自分に合った“よい習慣”の積み重ねから生まれるもの。そこで、より上機嫌な自分になるために、本書を活用してみてはいかがでしょうか
著者紹介:印南敦史
作家、書評家、音楽評論家。1962年東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」「qobuz」などにもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。@innamix/X
Source: 明日香出版社


























