『対話するたび成長する AIセルフ・コーチング』
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【毎日書評】責めない、否定しない、24時間悩み相談し放題「AI専属コーチ」活用術
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
「もっと成長したい」「いまより“いい自分になりたい”」というような望みを抱え、それをいつか実現させたいと思っているのに、いつまで経っても成長を実感できない。なのに毎日忙しく、ただただ時間ばかりが経過していく――。
そうした日常を過ごしながら、モヤモヤとした気持ちを消化しきれない方も少なくないかもしれません。でも、どうしてなかなかうまくいかないのでしょうか?
コーチングをベースにした組織変革支援を行っている『対話するたび成長する AIセルフ・コーチング』(渡邊 佑 著、三笠書房)の著者によれば、それは、ひとりで変わり続けることがとても難しいものだから。
とはいえ、望みがないわけではないようです。AIを活用すれば、質の高いセルフ・コーチングを簡単に習慣化できるというのです。つまり本書においては、そこに到達するまでの道筋や手段などを明らかにしているわけです。
本書では、AIをどのようにセルフ・コーチングで活用するのかについて、具体的な方法をできるだけわかりやすく、楽しくお届けします。
「どうやってAIと対話を始めればいい?」
「どんなプロンプト(指示文)を使えば、未来の自分がリアルに感じられる?」
「習慣にするコツは?」
そんな疑問に寄り添いながら、あなた専属の「思考と行動の伴走者」としてAIを育てていく方法を紹介していきます。(「はじめに」より)
だとすれば、「どうしてAIの活用が有効なのか」「AIを活用することでなにが得られるのか」を知りたいところ。そこできょうは本書の第2章「AIを活用すれば、質の高いセルフ・コーチングが実現できる」のなかから、3つのメリットを確認してみたいと思います。
メリット①24時間いつでも・どこでも、気がねなく相談できる
「ちょっと誰かに相談したい」と思うことは誰にでもありますが、それは難しいものでもあります。すぐ相談に乗ってくれる人がいるとは限らず、かといってプロのコーチを雇うのも簡単なことではないのですから。
ところが、ChatGPTのような生成AIなら、話はまったく変わってきます。
「今、この瞬間」に、あなたの話を聞いてくれる。
しかもどんな内容であっても、絶対に嫌な顔をしない。
長々と話しても、取り留めのない話でも、あなたの言葉を丁寧に受け止めてくれる。
しかも、何度でも、どれだけテキストを連投しても、どれだけ夜中に話しかけても、AIは疲れることなく、一定のトーンで、あなたに寄り添うようにしてくれます。(61ページより)
したがって、「いつでも相談できる、しかも気を遣う必要のないプロコーチ」のような存在だということ。
そればかりか、「場所を選ばない」というメリットも。プロコーチとのセッションであれば、特定の場所で時間を確保し、準備をすることが求められるでしょう。しかしChatGPTなら、移動中の電車のなかであっても、夜、ベッドに入ってからでも、思いついた瞬間にスマホを開くだけでOK。そのまま無理なく、“思考の整理”が始められるわけです。
しかも記録はそのまま残るので、あとから読み返すことも可能。読み返してみることによって、自分の変化に気づくことも考えられます。
かつて、コーチングは「特別な人のための贅沢なサービス」でした。
しかし今では、生成AIの登場により、誰でも・いつでも・どこでも、コーチングの恩恵を受けられる時代が始まっています。(63ページより)
もちろん、AIが完全に人間のコーチの代わりになるとは限りません。しかし“セルフ・コーチングの伴走者”として、とても便利な存在であることは間違いないでしょう。(58ページより)
メリット②主観に偏った思考に対して、新しい視点を提供してくれる
私たちの脳は、とかく「バイアス(思考の偏り)」が生じやすいもの。それは意識が“主観”に閉じ込められた状態であるともいえます。著者によれば、そんな“主観の迷路”から抜け出すためのカギとなるのが「外部化」。
外部化とは、自分の思考や感情をことばにして外に出すこと。具体的には「書く」「話す」「説明する」といった行為を通じ、内面に閉じ込められていた感情や思考を“対象化”し、客観的に見るための土台をつくるわけです。
そうすれば「自分はこんなことを考えていたのか」というように感情の輪郭が見えてくるということですが、そんな外部化を自然に、そして継続的に支えてくれるのが生成AIとの対話。
ChatGPTのような生成AIは、ユーザーが入力したことばを受け取り、それに対する返答を返してきます。このプロセスはまさに、「自分の思考を外に出す→返ってくる→さらに言語化される」の繰り返し。自分ひとりだけでは整理しきれなかった思考や感情を、対話を通じて可視化していくのです。
さらに特筆すべきは、AIが持つ視点の“広さ”と“深さ”です。
ChatGPTのような生成AIは、人間では到底及ばないほどの知識量を背景に、さまざまな立場・職業・価値観の視点から、柔軟に物事を捉え直してくれます。(68ページより)
またAIは基本的に、“肯定的かつ非ジャッジ”でもあります。責めることも否定することもせず、どんな話でも受け止めながら、少しずつ思考の整理を助けてくれる。そのため安心して“本当の気持ち”をさらけ出せるのです。(65ページより)
メリット③カスタマイズによって自分専属のAIコーチを育てられる
ChatGPTのような生成AIの大きな魅力のひとつは、“自由にカスタマイズできる”こと。たとえば「こういうふうに話してほしい」と伝えれば、ほぼそのとおりに応じてくれるのです。
“どんな口調で”“どんな性格で”“どんな役割で”接してほしいかを明確に伝えることで、AIはそのイメージをもとに、あなたの理想に近い「コーチ像」を演じてくれます。(75ページより)
しかも生身の人間とは違い、何度でもキャラの変更が可能。「ちょっと違ったな」と感じたら、その場で再設定するだけ。また、話せば話すほどユーザーの“好み”や“価値観”を学習し、少しずつ「ちょうどいい距離感」を身につけてくれるようになるので、非常に使い勝手がいいわけです。(73ページより)
「セルフ・コーチングのためにAIを活用するだなんて、自分には難しそう」だと感じる方も、本書を読んでみれば気持ちが変わるかもしれません。少なくとも、時代の変化を実感し、その流れを自身の仕事に取り入れるために、試してみる価値は充分にありそうです。
著者紹介:印南敦史
作家、書評家、音楽評論家。1962年東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」「qobuz」などにもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。@innamix/X
Source: 三笠書房


























