『90歳、凜として生きる』
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ライフスタイルを変えたのはいくつもの病の経験から
[レビュアー] 立川談四楼(落語家)
女優である著者が夫の大島渚監督を介護する中で、介護うつを患ったことは知っていましたが、看取ったその後に病と向き合った80代があったとは、本書で初めて知りました。
82歳の乳がんに始まり、大動脈弁狭窄症、脊柱管狭窄症、肺がん、再びの大動脈弁狭窄症、そして肺がんの再発に見舞われるのです。よくもまあご無事でと感嘆するわけですが、息子も「僕だったらとっくにダメになってるよ」と言ったそうです。
その当人が、〈おわりに〉で言っています。「90歳で、自分の本が出るなんて! まるで夢のようなお話で、今その喜びをかみしめています」と。喜びを溌剌と表す元気な90歳です。
本書にはなぜそんな心境に至ったかのヒントがあふれています。基本は“かきくけこ”です。か 感謝する 感動する き 興味を持つ く 工夫する け 健康に留意する こ 好奇心を持つ どうです。老いての要諦だと大いに参考になりました。
いくつもの病の経験から、著者はライフスタイルを変えました。何でも一人で背負い込んでいたものを、息子の妻などに任せ、責任の軽減をはかります。身軽になると時間ができ、女子会麻雀に精を出します。無駄口をやめ、ゲームに集中します。脳の活性化です。麻雀が終わると、鰻丼を食べて即解散、に笑いました。そうです、食欲も大切なのです。
コーラスに参加し、思い切り声を張ります。腹式呼吸とストレス発散です。水泳教室にも通います。その際、若さを保つためのペディキュアは欠かせません。筆マメを意識し、礼状は必ず書きます。書くことは手と脳の訓練だからです。それでいてスマホも操ります。LINEは孫たちとの何よりのコミュニケーションなのです。静かに読書をする時間も持ちます。これらから、静と動を使い分けていることがわかります。だからこその90歳の心境なのです。また一人、見習うべき先達が増えました。心強い限りです。


























