残業ゼロでも売上126%成長!中小企業が実現した「生産性アップ」のすごい仕組み

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残業ゼロのすごい仕組み

『残業ゼロのすごい仕組み』

著者
菊池正則 [著]
出版社
あさ出版
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784866677644
発売日
2025/09/09
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】残業ゼロでも売上126%成長!中小企業が実現した「生産性アップ」のすごい仕組み

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

生産性、新卒採用者、業績が右肩上がり!  残業ゼロのすごい仕組み』(菊池正則 著、あさ出版)の著者が代表を務める「みらいパートナーズ」には、自分の趣味を満喫する社員もいれば、延長保育を利用することなくお子さんを迎えに行って家族の時間を過ごす社員、割引サービスのあるハッピーアワーに同僚と飲みにいく社員もいるのだそうです。

なぜなら、残業ゼロの職場だから。そのため社員の満足度は高く、就活生からも評価されているのだとか。しかも残業ゼロでも売上は伸び続けており、現在、売上は2021年から126%成長しているのだそうです。

残業をなくせば売上や利益が減るというのは大間違い。やり方しだいでは、少ない時間で大きな成果を出すことができます。(「はじめに」より)

もちろんそのために社長としては、いくつかの経営判断が必要だったよう。具体的には、生産性向上を目指すうえでとくに意識すべきことが2つあるのだといいます。

まずひとつは、いらないものを捨てること。長年捨てられないモノや、なくても困らない作業、アウトソーシングできるのに自社で抱えている業務など、なかなか捨てられずにいる物事を捨てる決断です。

もうひとつは、デジタル活用。さまざまなツールが普及した現在、DXを進めてもお金はさほどかかりませんが、それでも新たな投資は必要になります。そのため、中小企業がそれを行うためには、やはり社長の決断が求められます。

みらいパートナーズは、現場における改善の積み重ね、ムダの掃除、デジタル活用によって生産性を高めました。その結果として残業ゼロを実現できたのですが、そもそも残業ゼロという目標があったからこそこれらの施策が加速したわけです。(「はじめに」より)

そこで本書では、残業ゼロへの取り組みを通じて学んだノウハウや、BPOサービス(経理業務などをアウトソーサーとして請け負うサービス)の賢い使い方、中小企業ならではのデジタル化のコツ、生成AIの最新活用事例などを幅広く紹介しているのです。

きょうは第2章「ムダをなくせば残業ゼロになる」のなかから、いくつかのポイントをご紹介したいと思います。

トップが「残業ゼロ」を宣言する

たしかに残業ゼロは理想的ですが、それを実現するのは簡単なことではありません。みらいパートナーズでも、実際に残業ゼロが定着するまでには半年かかったそうです。

では、どうすればいいのか? 著者によれば、残業をなくすためになにより大切なのは、トップがそれを宣言すること

「残業ゼロにして人生を充実させてほしい」というように、最初に社長が説明してこそ、社員は意図を理解して効率化を意識するようになるわけです。ただし、普段の業務の指示の延長で「残業をなくそう」と話すだけでは不十分。

「我が社は残業ゼロ企業に生まれ変わる」「2年後までに残業ゼロにする」というようにトップ自らが「宣言」「発表」「約束」し、全社的な取り組みであることを社員に意識させることが重要なのです。

とはいえそれだけで満足するべきでもなく、忘れずにやる必要があるのは「文章として明確にする」こと。聞いただけのことばは右から左へ抜けていってしまいますが、文字なら消えることはないからです。

いずれにしても重要なのは、会社として残業ゼロの方針を明確に打ち出し、社員にその気になってもらうこと。(46ページより)

仕事を可視化してターゲットを決める

残業をなくそうといっても、具体的にどうすればいいのでしょうか? 著者は、まずやってほしいこととして「仕事の可視化」を挙げています。とはいえ、難しく考える必要はないようです。

やり方はいろいろ考えられますが、みらいパートナーズでは事業部のマネージャーを集めて付箋に書き出してもらいました。本当はどの仕事に何時間かかっているのかというところまで把握したいところですが、最初からハードルを高く上げすぎると失敗します。付箋に書く段階では、仕事の内容だけを書いてもらうだけでいいと思います。(56〜57ページより)

書き終えたら、貼り出した付箋を確認しながら「どの仕事の効率化に取り組むか」を議論して決定。気合の入った社長であれば「ぜんぶ効率化しろ」と言いたくなるかもしれませんが、いきなり全部は無理な話。ターゲットはひとつかふたつに絞り、順番に効率化を図るのがいいようです。

優先順位の決め方は社長次第。たとえば作業時間が長いものから改善すれば、残業削減の効果も大きくなるでしょう。毎日5時間かかっている作業を10%削減できたとしたら、それだけで一日30分の残業削減になります。(58ページより)

ムダな会議は不要。集まるのは月1回でOK

ムダな仕事の筆頭といえば、やはり会議。短いミーティングを毎日やったり、定例会議を毎週行っている会社もあるでしょうが、本当に毎日、毎週でなければいけないものは意外と少ないものです。

みらいパートナーズは、事業所間で情報共有する進捗会議を定期的に開いています。基本的な内容は、「営業や実績の数字の報告」「お客様の声の共有」「ライバル情報の共有」、そして「自分の考えの発表」です。これらはどれも重要な情報ですが、毎週報告したり共有するためにわざわざ時間を割くのはさすがに非効率。月1回1時間で十分です。(58〜59ページより)

月1回では不十分ではないかと感じられるかもしれませんし、そもそもビジネスを取り巻く環境は一定ではなく、変化に対してはスピーディーに情報収集して意思決定する必要があるでしょう。

ただし、スピードが求められる情報収集や意思決定を定例会議でやろうとすることがそもそもの間違いすぐ対処すべきことは、問題の大きさに関わらずとにかくすぐ対処する。それが仕事の鉄則なのです。

そこで定例会議では、緊急性がない問題について報告・共有したり、問題が起きていないかどうかを確認するべき。それは、実際の問題解決だけでなく、マネージャー教育にもなるはずです。マネージャーになれば、みんなの前で話す機会が増えてくるもの。人前でうまく話せるかどうかは場数次第なので、月に1回、会議で内容を短くまとめて報告することは、いいトレーニングになるわけです。(58ページより)

「残業ゼロは体力に余裕のある大企業にしかできないもの」だという思い込みは、捨てるべきだと著者は断言しています。中小企業でも、工夫次第で残業をなくして魅力ある企業へと変貌させることは可能なのだと。いまの職場をよりよい環境にするために、参考にしてみてはいかがでしょうか。

著者紹介:印南敦史

作家、書評家、音楽評論家。1962年東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」「qobuz」などにもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。@innamix/X

Source: あさ出版

メディアジーン lifehacker
2025年10月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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