『対話から学ぶ臨床倫理コンサルテーション』
- 著者
- 山本 圭一郎 [編集]/徳原 真 [編集]/中山 照雄 [編集]/堂囿 俊彦 [編集]/竹下 啓 [編集]/高島 響子 [編集]
- 出版社
- 医学書院
- ジャンル
- 自然科学/医学・歯学・薬学
- ISBN
- 9784260057387
- 発売日
- 2025/09/01
- 価格
- 2,970円(税込)
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今、病で迷っている人たちへ! 現場の専門家が見た「最善」とは?
[レビュアー] 渡邊十絲子(詩人)

※画像はイメージ
一般向けの書籍ではないと思うけれど、ふと手にとってみたら読むのをやめられず購入した。生命の危機において、人が一人で今後の方針を決めるのは難しい。患者本人、家族、医療者、それぞれの立場で願うことが違ってくる場合がある。この本はそうした「もやもや」の取り扱いかたを示すものだ。実例ではないが、日々の診療経験に基づく10の典型的な仮想ケースが並ぶ。
高齢の独居男性が倒れ、診断は急性硬膜下血腫。手術はできたが意思疎通が不可能で、約10年前の「延命治療は断る」意思表示が現在も有効と考えていいか迷うケース。
健康だった乳児が突然呼吸停止し、一命はとりとめたが自発呼吸はないまま。急変の場合は救命措置を断りたいと両親は言うが、虐待も疑われるケース。
肺に影がありカポジ肉腫(HIVの症状)と診断された30代男性が、HIV感染者であることを家族には知られたくないと言うが、その後せん妄状態になり、命を救うためには薬物療法への同意を家族に対して求める必要があるケース。
これらのように「本人を救うための行為をまっすぐ進められないもやもや」が、何人もの専門家の話し合いによって解きほぐされていく。たとえば最初の高齢男性のケースでは、臨床倫理コンサルテーションチームとして緩和ケア科医師、内科医師、臨床工学技士、看護師、生命倫理学者、医療安全担当看護師長、ソーシャルワーカー、弁護士が臨席している。相談するのは主治医(脳神経外科)、病棟の看護師長と副看護師長、担当ソーシャルワーカーだ。「正解」はなくても、それぞれの立場から見た「最善」を擦り合わせる。医療者の側にある「もやもや」の数だけ、患者や近親者の「もやもや」もあるはずで、誰もが当事者になりうる問題だ。家族のために治療の同意書を山ほど書かされているかたは、読めば考えが整理できるはず。


























