『仕事と人生を変える 勝間家電』
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【毎日書評】足すではなく、減らす。脳の「余計なモノ」を減らし動きやすくなる考え方
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『仕事と人生を変える 勝間家電』(勝間和代 著、ダイヤモンド社)は多忙な人々に向け、家電やガジェットを筆頭としたテクノロジーを使い倒して「自分の時間を取り戻す」ことをすすめる本だそう。
本書では、モノを増やす方向でテクノロジーの導入をすすめているので、これは矛盾するようなのですが、私は「使っていないモノ、必要のないモノは資産ではなく負債(借金)」という考え方を徹底することをおすすめしたいと思います。(「PROLOGUE 勝間家電をはじめる前に」より)
モノが少なくなれば時間効率は上がり、頭も冴えるはず。必要なものと不要なモノを瞬時に見分けられるようになるため、時間効率が上がるわけです。したがって、生産性を上げたいのであれば、“家電を含めたモノは足す前にまず、引くことを考える”ようにするべきだと著者は述べています。
目の前に不要なモノがあるだけで、処理に一瞬、脳のリソースが取られます。
脳の処理能力は一定量しかありませんので、それをモノの管理や整理に使うと、大事なことに使える力が削がれます。
ですから余計なモノはいますぐ目の前から消すべきでしょう。(「PROLOGUE 勝間家電をはじめる前に」より)
たしかに、どれだけ上手に管理をしても、物量だけで生産性が上がることはありません。それどころか下がる可能性のほうが高いので、モノは「増やして管理」するのではなく、まずは「減らす」べきだということ。
第2章「『ムダな仕事』をしてはいけない」のなかから、ビジネス環境についての2つのポイントを抜き出してみましょう。
パソコンは自分流に「カスタマイズ」する
いうまでもなく、仕事を生産的に進めるうえでパソコンは不可欠。スマートフォンも便利ではありますが、複雑な作業やまとまったタスクをこなす必要がある場合には手間がかかってしまうもの。しかしパソコンは、ある程度の習熟が必要であるとはいえ、断然効率がいいわけです。
そしてパソコンの最大の利点は、自分に合わせてカスタマイズできること。カスタマイズ要素が「カメラ性能」や「ストレージ容量」くらいしかないスマートフォンとは違い、パソコンなら「CPU」「メモリ」「ストレージ」など、自分に必要なスペックを細かく組み合わせて選べるわけです。
私が推奨するのは、BTO(Built To Order)、つまりネットで注文を受けてから生産するタイプのパソコンです。
受注生産なので在庫を持つ必要がなく、原価に適正な利潤を乗せた価格で提供されるので、家電量販店で売られている大手メーカー品と同等の性能なら、2〜3割安く、同じ予算なら3割増し程度性能のいいものを手に入れられます。在庫コスト、店舗運営コスト、量販店のマージンなどがかからないため安いのです。(94ページより)
ちなみに著者がおすすめするBTOメーカーは、マウスコンピューターだそう。BTOメーカーのなかでは最安値というわけではないものの、サポート体制がしっかりしているのだそうです。1台ごとに製造番号で管理されており、メーカー側がすべて把握しているため、トラブルのときにも迅速に対応してくれるというのです。
BTOのもうひとつのメリットは、パソコン内部のメモリ容量を増やせること。市販のノートパソコンは、価格を抑えるためにメモリが8GB、多くても16GB程度しか搭載されていないモデルが主流。しかしBTOなら注文時に32GBや64GBといった大容量メモリを搭載可能。そのためCPUが最高スペックでなくとも、メモリ容量が大きいため快適に動作するというのです。
修理の際も、大手メーカー製品の場合は「購入した店舗〜メーカー」というルートで送られるため、戻ってくるまでに2〜3週間かかることもあるでしょう。一方、マウスコンピューターは、連絡すれば専用の梱包箱が送られてくるため、それに詰めて送り返せば、通常は数日(中3日程度)で修理されて戻ってくるのだとか。
パソコンは快適に使えてこそ価値を発揮する道具なので、サポート体制を含む“そのための環境”を整えることが大きな意味を持つわけです。(92ページより)
「イス」と「デスク」で健康に働く
運動不足と腰痛は仕事の大敵。そこで著者は、立ちながら仕事をすることをすすめています。とはいえ、立ったまま動かないのでは膝や腰に負担がかかってしまうことになります。では、どうすればいいのでしょうか?
仕事中は立ったり座ったり動いたりが重要で、そのために私は卓上昇降式のスタンディングデスクと、イスがくるくる回転するメディカルチェアを使っています。
昇降式のスタンディングデスクは、疲れていないときは立って仕事ができるよう机を持ち上げたり、疲れてきたら机を下げて座って仕事ができる便利な机で、これがあるとさまざまな姿勢で仕事ができます。(116ページより)
昇降式ではないものも使ったことがあるものの、場所によって高さが変わったり、立ったり座ったりして仕事をする際に高さ調整ができないなど不自由も多かったようです。そこで、通常のデスク上にスタンディングデスクを置いて調整するようになったというのです。
座りっぱなしが健康によくないことは、いまや誰もが知ること。人は立つことと歩くことによってバランスをとりながら、全身運動を繰り返しています。座りっぱなしで動かなくなると、足腰はどんどん衰えてしまうわけです。
それであれば、立ったり座ったり、動いたりしながら仕事ができるように工夫をするのが一番です。
私は座っているときもメディカルチェアを使うことで、くるくると体が回ったり、腰に負担がかからず骨盤を立てて座ることに成功しており、このイスを使いはじめてから5年ぐらい、重篤な腰痛には一度もなったことがありません。(118ページより)
また、立っているときも座っているときも、骨盤にしっかりと自分の体重がかかるよう、おなかに力を入れて骨盤をまっすぐ立たせるといいようです。この「立たせる」という動作をどれだけ美しくできるかで、体型も決まってくるもの。そればかりか長生きの基準も変わってくるため、上手に立たせ、上手に動き、上手に動ける状態を維持することが重要なのです。(110ページより)
脳のリソースを保って生産性を上げるには、「頭のなかを軽くすること」「考えることを減らすこと」が重要だといいます。そうした考え方をもとに書かれた本書は、本当の意味で生産性を上げるために役立ってくれるかもしれません。
作家、書評家、音楽評論家。1962年東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」「qobuz」などにもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。@innamix/X
Source: ダイヤモンド社


























