『見仏記 三十三年後の約束』
- 著者
- いとう せいこう [著]/みうら じゅん [著]
- 出版社
- KADOKAWA
- ジャンル
- 文学/日本文学、評論、随筆、その他
- ISBN
- 9784041166901
- 発売日
- 2025/10/02
- 価格
- 3,333円(税込)
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<書評>『見仏記 三十三年後の約束』いとうせいこう、みうらじゅん 著
[レビュアー] 辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)
◆変わらぬ友情 仏縁の奇跡
「仏縁」には「仏の引き合わせ」という意味がありますが、いとうせいこうとみうらじゅんによる、33年以上も続く「見仏記」シリーズは、まさに仏縁が渦巻く名著。謙虚な姿勢でレポートし、みうらじゅんの面白いコメントを即座にピックアップするいとうせいこうの観察力と文章力、武蔵野美術大出身の画力で仏像の陰影を表現するみうらじゅんの情が深いイラストのマリアージュが、読者の心を涅槃(ねはん)に誘います。
はじまった時は30代でも今は60代の2人。みうらじゅんが整体の観点から「こうしてると、ほら、首が凝るでしょ」と仏像の姿勢を評したり、耳鳴りのせいで蟬(せみ)の鳴き声がわからなくなったり、「ムリしちゃダメだ」と見仏を切り上げたり、健康に気を使う姿にも共感させられます。
『見仏記 三十三年後の約束』は、前半は長浜や関東、東海などのレポートですが、後半に感動のストーリーが待っていました。「三十三年後の三月三日、三時三十三分に三十三間堂の前で会いましょう」という、最初の「見仏記」のときに交わした約束が、なんと果たされることになったのです。仏様のお手配か、奇跡的に三十三間堂側が協力してくれることになり、運命の日、2千人の人々の前で約束を決行。みうらじゅんが三十三間堂の回廊でひざまずいて赤いバラを差し出すというドラマティックなシーンが展開。「見仏記」は男の友情のストーリーでもあります。
本作にも、みうらじゅんがいとうせいこうのことを尊敬を込めて「居士」と呼ぶシーンや、移動時間中もずっと喋(しゃべ)り続ける姿、いとうせいこうの「飽きることがない」長年の友だち付き合いの良さについての記述などがありました。
何より、2人が長年ずっと仲良く、業界で活躍し続け、写真を見ると髪も黒々していて精気に満ちている、ということが「三十三年後の約束」と同じくらい奇跡的です。仏教や仏像を広めた御利益なのでしょうか。説得力ある両氏の姿を目の当たりにして、布教力が強いシリーズです。
(KADOKAWA・3333円)
いとうせいこう 作家。
みうらじゅん イラストレーター、作家。
◆もう1冊
『見仏記』いとうせいこう・みうらじゅん著(角川文庫)。シリーズ第1弾。


























