『自由への終わりなき模索』
- 著者
- 清原 悠 [著、編集]/模索舎アーカイブズ委員会 [監修、解説]
- 出版社
- ころから
- ジャンル
- 文学/日本文学、評論、随筆、その他
- ISBN
- 9784907239787
- 発売日
- 2025/10/15
- 価格
- 7,700円(税込)
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孤高で孤立無援の書店を描いた大著
[レビュアー] 都築響一(編集者)
2016年から続けたこの書評連載も今回が最終回。長らくのお付き合いありがとうございました。そして最後の一冊に、おそらく日本でいちばん新左翼系の情報媒体が集まっている書店・模索舎のことを、週刊新潮で書けるのがうれしい!
創業が1970年。日本の少部数/自費出版の歴史は模索舎抜きに語れない。「流通の自由なくして表現の自由はない」を掲げ、持ち込まれた出版物はすべて店に並べるというポリシーを貫く模索舎が歩んだ道のりはそのまま、出版を企業から自分たちの手に取り戻そうと闘い続けてきたすべての人々の軌跡だ。ZINEもフリーペーパーも選書家も、ブックカフェという言葉すらなかった時代から、模索舎はあった。極左も来れば、公安も来る。1ミリの遊びもない真剣な本も、遊びだらけの軟弱本もある。ただ、ベストセラーだけがない。「褒められもせず、苦にもされない」ひとになりたいと書いたのは宮沢賢治だったが、模索舎というのは、たぶん本人たちも意図しないまま、そんな境地に達してしまった本屋なのだろう。たたずまいも、内容も、いささかの変化もないままに。
模索舎のある新宿2丁目の一角は伊勢丹のある3丁目の賑わいとも、新宿通りを渡った先の、世界最大のゲイタウン“2丁目”とも無縁の、なぜか昼も夜も賑わいもせず寂れもせず、という不思議なエリア。そういう孤高というか、孤立無援というか、影響力があるのかないのかわからないまま、とにかくずっとそこにいるというのが、すごく模索舎らしい気がする。
そんな奇跡の書店の半世紀を記録した一冊、880ページ、総文字数80万字超、厚さ約5センチの“鈍器本”。全部読むのは大変だけど、家の本棚にこれが一冊収まってるだけで「迷ってる場合じゃないだろ!」と無言のプレッシャーをかけてもらえる、僕にとってはブレのない人生を送るための最高のお守りになった。
持ち込まれた出版物はすべて並べる。


























