ジェームズ・ボンドここに誕生 映画でおなじみ「美女」も登場

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007/カジノ・ロワイヤル

『007/カジノ・ロワイヤル』

著者
イアン・フレミング [著]/白石 朗 [訳]
出版社
東京創元社
ジャンル
文学/外国文学小説
ISBN
9784488138097
発売日
2019/08/22
価格
836円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

ジェームズ・ボンドここに誕生 映画でおなじみ「美女」も登場

[レビュアー] 吉川美代子(アナウンサー・京都産業大学客員教授)

 英国が誇るスパイ、コードネーム007で呼ばれるジェームズ・ボンドが初めて登場した記念碑的小説が’53年に発表された『カジノ・ロワイヤル』。映画でおなじみの名乗る時の決め台詞「ボンド、ジェームズ・ボンド」も本書に登場する。以降『死ぬのは奴らだ』『ムーンレイカー』『ダイヤモンドは永遠に』『ロシアから愛をこめて』(映画邦題は『ロシアより愛をこめて』)『ドクター・ノオ』と続き、イアン・フレミング原作の007長編小説は全12作。ただし日本での出版はこの順序ではない。

 映画化1作目は’62年『ドクター・ノオ』(日本初公開時は『007は殺しの番号』)。ショーン・コネリーがカムバックした番外編『ネバーセイ・ネバーアゲイン』を入れて、2021年の『ノー・タイム・トゥ・ダイ』まで映画は全26作。原作がなくても、オリジナル脚本や短編をもとに脚色して映画が製作されるほどのドル箱シリーズになったのだ。私は9歳の時から全作品、劇場で観ています!

 原作の『カジノ・ロワイヤル』は東西冷戦時代が舞台なので敵はソ連。フランスの共産党系労働組合の大物ル・シッフルは実はソ連のスパイだったが、フランス共産党の資金を私的に流用して大穴をあけてしまい、ギャンブルの達人である彼はカジノでその穴を埋めようとしていた。英国秘密情報部は、彼がゲームで負けて大金をすってしまえば、ソ連から罰せられて破滅し、スパイを受け入れていた共産党系労働組合の結束も乱れると考え、ギャンブルにも腕の立つ男007に白羽の矢が立つ。CIAとフランス参謀本部の援護、さらに英国秘密情報部課長助手の美女ヴェスパーも合流し、ボンドはフランスのロワイヤル・レゾーのカジノでル・シッフルとのバカラのゲームに臨む。だが、勝負に勝ったボンドを待っていたのは罠……。

 ところで、正統シリーズとは別の『カジノ・ロワイヤル』という’67年の映画がある。人気スター総出演の007パロディーものだが、笑えない超駄作。これがトラウマとなり、私にとってカジノ・ロワイヤルという言葉は長年禁句(笑)。本家映画を観てついに克服!

新潮社 週刊新潮
2025年12月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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