妻夫木聡が「早く目黒くんの演技を見に来てあげてください」と原作者にメール…TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の舞台裏【第2回】
対談・鼎談
『ザ・ロイヤルファミリー』
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早見和真『ザ・ロイヤルファミリー』ドラマ化記念鼎談 妻夫木聡×目黒蓮×早見和真「ファンファーレが鳴っている」
[文] 新潮社

妻夫木聡 1980年福岡県生まれ。俳優
芝居に挑む演者は撮影の裏側で何を思い、どのようなやり取りをしているのか?
そして、映像化の元となる物語を生み出した原作者は、どんな気持ちで制作の現場を見つめているのか?
TBS系日曜劇場で放送中の『ザ・ロイヤルファミリー』では、チームとしての結束力が強く、絶妙な一体感が生まれているという。
こうした現場のキャストやスタッフだけが知る内幕を明かし、作品への理解が深まる対話をしたのが、『ザ・ロイヤルファミリー』の原作者・早見和真さんと、出演者の妻夫木聡さん、目黒蓮さんの三人だ。
主人公の税理士・栗須栄治とワンマン社長・山王耕造との出会いから、馬主一家の波乱に満ちた20年間の軌跡を紡ぐドラマの撮影現場では、どんな思索とやり取りが生まれていたのか?
(全4回の第2回)
※本対談は原作者の早見さんが第一話放送後の10月中旬に撮影現場を訪問して行われました。

左から目黒蓮、妻夫木聡、早見和真
池松壮亮さんの言葉
早見:目黒さんは去年、テレビドラマ『海のはじまり』で池松壮亮さんと共演されていましたよね。
目黒:はい。ご一緒させていただきました。
早見:『ぼくたちの家族』の映画で、主人公兄弟の兄を妻夫木さん、弟を池松さんに演じていただいて以来、僕はお二人を盟友だと思っています。『ラストインタビュー』という本にも書きましたが、僕は池松さんの人を見る目をすごく信頼していて、二人で食事をした時に「ある作品で目黒さんとお仕事をする可能性がある。俳優としての目黒さんをどう捉えてる?」と聞いたことがあるんです。そうしたら「本当に素晴らしいですよ」って手放しで絶賛していて。中条耕一は、佐藤浩市さん演じる山王耕造と並んでとても大切な役。池松さんの話を聞いて、ぜひ目黒さんに耕一をお願いしたいと気持ちが引き締まりました。だから、こうして演じてくださるのが本当に嬉しいんです。
目黒:その様におっしゃっていただいて、僕も嬉しいです。

目黒蓮 1997年東京都生まれ。 「Snow Man」メンバー、俳優
裏テーマは「命」
妻夫木:玉置浩二さんの主題歌『ファンファーレ』も素晴らしくて、第一話のラストの曲の入り方も秀逸ですよね。
早見:目黒さんのナレーションともぴったりハマっていましたよね。曲のサビの部分と目黒さんの声が重なるところはとくに胸が熱くなりました。
妻夫木:そうなんです。目黒くんの声色に重みがあって、耕一の人生を背負った上で過去を振り返るナレーションになっているから、作品に説得力と深みを与えてくれているなって感じました。
目黒:ありがとうございます。嬉しい限りです。
妻夫木:第一話では目黒くんの役柄は明かされていないけど、「この人が物語のキーになるんだろうな」と声だけで感じられるんですよね。
早見:それに加えて、僕は生身の目黒蓮の生き方も声に孕んでいると感じました。たとえば目黒さんが十代の早い時期にとんとん拍子でデビューされていたら、あのナレーションって違う雰囲気になった気がするんですよね。目黒さんのこれまでが、あの語りに内包されているって。
妻夫木:たしかに、そうかもしれないですね。
目黒:第一話ってすごく大事じゃないですか。僕は声だけのお仕事をしたことがなかったから、監督の塚原(あゆ子)さんとも相談しながら、競馬を知らない方にも理解していただけるように……とか、どうしたら作品のためになれるのか、いろいろ考えました。
早見:それは伝わってきました。
目黒:自分がそういう気持ちになれているのも、実は妻夫木さんの存在が大きいんです。先ほど早見さんがおっしゃった通り、妻夫木さんはものすごくまわりのために動かれる方なので、キャストやスタッフみんなが「この座長に何をできるのか」「この作品に自分は何ができるのか」と自然に思えている。それは作品にとってすごく大きいと思います。
妻夫木:早見さんも来てくれた顔合わせの時、僕も目黒くんと会うのははじめてだったんです。最初にみんなで神社でお祓いをした後に、目黒くんがタタタタッと走ってきて、(真剣な表情で背筋を伸ばして)「妻夫木さん! 僕は今回! 全身全霊! この役に捧げようと思っています!」と言ってくれて。
目黒・早見:あはは(笑)。
妻夫木:だから、僕が座長であるとかは関係なく、目黒くんは最初からこの役に捧げる覚悟だったと思うんですよね。覚悟がないと役って生きてこないから。作品のために本気になれる人なんだな、というのがすごく嬉しくて。物語の中で目黒くんが演じる中条耕一の大きな役割は「馬の未来」。つまり、「命」について、一番強い思いを持っている存在じゃないですか。
早見:うん。その通りです。
妻夫木:『ザ・ロイヤルファミリー』は馬と人の絆の物語であり、継承の話だけれども、最後の最後に裏テーマとして残るのは「命」だと思うんです。顔合わせの日に目黒くんと連絡先を交換して、夜にやり取りをしていたら、「僕はその『命』の部分を背負っていきたい」というメッセージをくれて、「あぁ、目黒くんはすごいな」って。僕一人では絶対に背負い切れないし、一番難しいところを耕一が「背負う」と言ってくれた。それがすごく心強くて、嬉しかったんです。
早見:本当にそうですね。

早見和真 1977年神奈川県生まれ。作家
オレの目黒くんを見てくれ
妻夫木:今回の物語は、浩市さん演じる山王耕造と、目黒くん演じる中条耕一の二人が主人公だと僕は思っています。自分はあくまで秘書の栗須として二人を支えていきたい。だから、自分が主役だとはあんまり思っていないんです。
目黒:でも、僕が言うのもおこがましいですけど、耕一の立場からしたら、栗須さんを、どうやって下からグッと盛り上げていくか。つまりは、自分がどうしたらこの作品のより良いパーツになれるのかって思っているんですよね。
妻夫木:そうなのか。
目黒:僕だけではなくて、佐藤浩市さんも同じ気持ちだと思うんです。
早見:これは今日、ぜひ目黒さんにお伝えしたかったことなんですけど、妻夫木さんから届くメールが、ことごとく栗須さんそのものなんです。「明日、目黒くんとはじめて演技してきます」から始まって、「目黒くんが東京でもクランクインしました」の後に「目黒くんがすごくいいですよ!」と続いて、最近のメールにいたっては、「早見さん、早く目黒くんの演技を見に来てあげてくださいよ!」って(笑)。
目黒:あはは(笑)。
早見:これって完全に耕一を支えて守り立てる栗須さんの目線なんですよね。
目黒:たしかに。まさにそうですね。
早見:妻夫木さん、自分で気づいてなかったでしょ?
妻夫木:そういえば、そうですね。
早見:「オレの目黒くんを早く見てくれ!」って感じで(笑)。
妻夫木:でも、本当にそうなんです。目黒くんがすごくいいんですよ。
目黒:まさに栗須さんの目線ですね(笑)。
早見:ずっと目黒さんを手放しで褒めていて、僕もすごく嬉しかったし、早く現場に行きたいと思いました。
目黒:『ザ・ロイヤルファミリー』のチーム……というかファミリーって、独特の結束感があるんです。ここまで固く、熱いのは、けっこう特殊というか。
妻夫木:番宣で出演した番組の対決コーナーなんかでも、「もうオレたちはファンファーレが鳴ってるから!」「一着を取るしかないから!」っていう感じで(笑)。
早見:あはは(笑)。
目黒:他のどの作品でも、ここまでの結びつきはなかなかない気がしますよね。
妻夫木:ないよね。何だろうね、あの一体感とか、チーム感とか。
目黒:番宣で出演した『オールスター感謝祭』のアーチェリー対決で、妻夫木さんが番組史上はじめて真ん中に当てたときから、さらに一個、馬力が上がった感じがして。その熱い勢いをいい意味で引きずっていて、撮影の雰囲気もとてもいいんです。
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【第3回】では原作者が目黒蓮に、主演のオファーが多い中、なぜ脇役のこの作品に出演する決断をしたのか? という疑問を投げかけた対談をお届けする。
【第1回】では出演者とスタッフが原作者と作り上げた一体感、【第4回】では目黒のクランクイン初日が異例の撮影方法になったという秘話を公開している。


























