『ニッポンの移民』
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<書評>『ニッポンの移民 増え続ける外国人とどう向き合うか』是川夕(ゆう) 著
[レビュアー] 関口威人(ジャーナリスト)
◆リベラルで開放的な政策
「日本に移民政策はない」
実は私も、そう信じてきた。
しかし本書によれば、日本は実態として、着々と移民を受け入れてきた歴史がある。しかも世界的に見て、それはかなり「リベラルで開放的」な政策によるものだという。
著者は経済協力開発機構(OECD)移民政策会合メンバーなどとして国際議論の場を踏み、各国の移民政策の歴史と日本の入管政策を、行政内部への聞き取りもして丁寧に比較分析した上で、前述のような目からウロコの結論を突き付ける。
ここでいう移民とは、「国境を越えた居住地の移転を伴う移動をする人」とする国連の定義で、さらにOECDは移住先での滞在期間、ないしはその更新回数に上限がない資格によって滞在する移民を「永住型移民」と定義付けている。それに従えば、日本の在留外国人は約6割が永住型移民に分類され、その半数以上が「労働」のためにやって来る。これは旧植民地由来の「家族移民」の割合が大きい欧米に比べると極めて特徴的で、国際的には「労働移民国家」とみなされるのだという。
しかし、日本の入管政策は戦後に朝鮮半島出身者、いわゆる在日コリアンたちから日本国籍を奪い、帰国を促す「管理と排除」から始まっている。その体質を残しながら、国内外の情勢変化を受けて在日コリアンたちの定住化を進め、経済成長期には労働力確保のため、さまざまな制度を設けて東南アジアや中南米の人々にも永住化を認めていった。このある種、潜在的な「排外主義からリベラルへ」の移行が実質の労働移民を増してきた一方、社会的には「移民政策がない」と認識される「ねじれ」を生んだと本書は指摘するのだ。
問われているのは今、欧米が逆に「リベラルから排外主義へ」と急転回する中、日本の「リベラルさ」をどうしていくか。著者はリベラルさを保つべきだとの立場を示すが、それが現政権や「日本人ファースト」に同調する世論に受け入れられるには、まだ相当な説得力が必要ではないかとも感じた。
(ちくま新書・1012円)
国立社会保障・人口問題研究所国際関係部長・博士(社会学)。
◆もう1冊
『アンダーコロナの移民たち』鈴木江理子編著(明石書店)。当時の混乱の実態と教訓。


























