『日本史を地学から読みなおす』
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ニッポンを動かす大地の歴史を地球科学で読む
[レビュアー] 林操(コラムニスト)
GDPの総額で5位、1人あたりの額では24位。大国の座から滑り落ちるニッポンでも上位に居座れる数少ない分野が災害です。特に地震や噴火では、世界シェアでみると陸地面積は0・25%なのに、活火山の数で7%、M6以上の大地震で2割を占める超大国。
にもかかわらず地震予知、噴火予知の類は短期予報としてはモノにもアテにもならぬゆえ、備えには地震や噴火がなぜ起きるのか、どのように起きてきたのかの知識が欠かせない。
この2点に加え、起きた天災が人の世をどう変えたのかまでをつかめる新刊が出て、それが『日本史を地学から読みなおす』。著者の鎌田浩毅は地球科学のベテランで、先史時代から令和まで、この国を地震津波噴火が左右した実例をいくつも示唆してくれる。
奈良の大仏の建立から平安期の末法思想の拡がり(そして皇族貴族の無力化と武家の台頭)、さらに鎌倉幕府の衰退の根には大地震や大噴火があったし、南海トラフ地震は戦国の混乱に拍車を掛け、秀吉の世の終焉を加速させたのも大地震。
大噴火→天候不順→大凶作→大飢饉→政情不安→改革の繰り返しで江戸幕府は衰退し、15年前の大地震と大津波は安倍政権復活の下地となって、安く貧しき国への釜の蓋を開いた。
遡れば、2500万年前に大陸から列島が分離したからこそ、魏志倭人伝からパンダ返還にまで至る日中愛憎史が展開した……なんてのは“地史政学”の拡大適用が過ぎるでしょうが。


























