『音と光の世紀 ラジオ・テレビの100年史』
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岐路に立つ放送メディアの根本課題を解き明かす
[レビュアー] 碓井広義(メディア文化評論家)
昨年、NHKは「昭和100年、放送100年」というキャッチフレーズを高らかに掲げていた。この「放送」は1925年に始まったラジオを指す。テレビのスタートは53年だ。
ラジオとテレビはどのように発達してきたのか。また、どんな人たちが関わってきたのか。それを検証したのが原真『音と光の世紀ラジオ・テレビの100年史』だ。著者は共同通信社編集委員兼論説委員。
全体の3分の2は歴史篇だ。世界初のラジオ放送、日本での展開、戦争とラジオ、戦後の民主化、テレビの登場といった流れを把握できる。しかし本書の真骨頂はそれに続く現代篇だろう。今や「大きな曲がり角」に立たされているテレビに関する鋭い分析だ。
2018年に安倍晋三政権が密かに策定した放送改革方針がある。放送と通信の制度を一本化し、政治的公平を記した「番組準則」など放送特有の規制をやめること。また民放を動画配信事業者と同列に扱うことも盛り込まれていた。政治的公平に縛られずに政府の意向を代弁するメディアをつくることが可能だ。立ち消えにはなったが、地下水脈のように放送行政の深部を流れ続けている。
では、今後の放送はどうなるのか。「いずれは、テレビもラジオも、ネット経由で視聴するサービスになっていくだろう」と著者。業界再編が進むだけでなく、放送の「概念そのものがなくなっていくのかもしれない」という。しかも遠い将来ではなさそうだ。


























