「何事もなかったように元の学校に戻れる」ケースは少数派 不登校専門クリニック院長が語る、いま必要な支援のかたち #今つらいあなたへ

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不登校は病気?

『不登校は病気?』

著者
飯島慶郎 [著]
出版社
みらいパブリッシング
ジャンル
社会科学/教育
ISBN
9784434372674
発売日
2026/01/27
価格
1,870円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「何事もなかったように元の学校に戻れる」ケースは少数派 不登校専門クリニック院長が語る、いま必要な支援のかたち #今つらいあなたへ

[文] みらいパブリッシング


全国初の不登校専門クリニックを開業した飯島医師

不登校になった子供の気持ちに寄り添い、その家族の声にも耳を傾ける診療が口コミで評判を呼び、全国から相談や受診希望が相次ぐクリニックがある。

不登校を「甘え」や「一時的な問題」としてではなく、心身の不調として医学的に捉える――全国でも珍しい「不登校専門」を掲げる〈出雲いいじまクリニック〉だ。

院長の飯島慶郎医師は、「不登校の子供と家族を救いたい」という強い思いから、『不登校は病気?~医師の診断が子供と家族を救う~』を上梓。不登校の背景に病気が隠れている可能性や、医療的支援という選択肢の存在を社会に問いかけてきた。

一方で、不登校に「診断」や「治療」という言葉を持ち込むことに、抵抗や違和感を覚える人は少なくない。飯島医師は、その違和感や偏見こそが、子供を必要な支援から遠ざけてしまうことがあると指摘し、医療が果たせる役割を粘り強く問い続けている。

不登校という状態を、教育や家庭の問題にとどめず、医療の視点も含めて扱うとは、どういうことなのか?

学校、家庭、そして医療のはざまで苦しむ子供たちに、いま本当に必要な支援とは何か?

飯島医師の言葉から、その考えと実践の真意を探った。

「どうしましょう」では進まない――学校と話す前に親が考えること

――担任の先生や学校側と、子供の今の状況を理解・把握するという点で、認識のずれや違いをなくしていくために、何かできることはありますか?

状況の共有に「これが正解」という一つの方法はありません。

なぜなら、理解のズレは親と学校のどちらか一方にあるとは限らず、ケースごとに立場や認識が逆転することも多いからです。親の理解が追いついていない場合もあれば、親は偏見なく支援したいと思っているのに、学校側の理解や危機感が十分でないこともあります。

だからこそ「こうすれば必ずうまくいく」という一般論は成り立ちません。

そのうえで、親ができる一番の土台は、正しい知識を持つことです。

医学的・心理学的な視点を含め、背景にある状態を理解していれば、学校との話し合いでも感情論ではなく、事実と理解に基づいた説明ができるようになります。

まずは知識を身につけること。

それが、学校や担任の先生との認識のズレを埋めていくための、いちばん現実的な第一歩だと思います。

――知識を身につける以外の点で言うと、お互いが話し合いを重ね、コミュニケーションを取り続けることが重要でしょうか?

いちばん重要なのは「話し合いの量」ではなく、親が何を求めているのかを明確にすることです。

学校に相談しても、教員側は「では、どうしてほしいのか?」が分からなければ動けません。目的が曖昧なまま「どうしましょう」と相談すると、学校からは一般的な選択肢が提示されるだけで、結局どれも選べずに話が進まなくなってしまいます。

特に、特別な配慮や支援に対して親側に迷いや偏見があると、せっかく提案されても無意識に拒否してしまうことが多い。そうなると、話し合いを重ねても状況は変わりません。

だからこそ大切なのは、「子どもにとって何を一番優先したいのか」「学校に何を求めているのか」を親自身が言語化しておくことです。

それをはっきり伝えれば、学校側も「それならこの方法は可能か」「通常学級では難しいが支援学級ならどうか」と、具体的な調整ができるようになります。

コミュニケーションの前に、まず親の覚悟と目的の整理が必要だということです。

――元のクラスや学校に戻る以外の選択肢として、フリースクールは考えるべきでしょうか?

フリースクールだけが選択肢ではありません。学区は一応決まっていますが、実際には自治体や教育委員会によって、かなり柔軟に運用されているケースもあります。県によって差はありますが、「この学校には通いにくい」という合理的な理由があれば、別の学校への通学を認めてくれる例もあります。特に、いじめなど明確で理解しやすい理由がある場合は、学校を変えるハードルは決して高くありません。通学可能であれば「どこでもいいですよ」と対応してくれる教育委員会も実際にあります。

なので、「元のクラスに戻る」「フリースクールに行く」この二択で考える必要はなく、「フリースクールや放課後等デイサービスを併用する」「学区外通学を検討する」という選択肢も、もっと積極的に使っていいと思います。子どもに合った環境を柔軟に探すこと自体が、大切な支援の一つです。

みらいパブリッシング
2026年2月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

みらいパブリッシング

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