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丁寧語で生まれ変わった寓話SFの傑作「動物農場」が新訳に……ウクライナ語版の序文も
[レビュアー] 宮下遼(トルコ文学者)
宮下遼さん(トルコ文学者)のポケットに3冊
〈1〉『新訳 動物農場』ジョージ・オーウェル著、田内志文訳(角川文庫、1100円)
〈2〉『チータ・ユーマ』小泉八雲著、平川祐弘訳(河出文庫、1100円)
〈3〉『恐るべきこどもたち』ジャン・コクトー著、村松潔訳(新潮文庫、649円)
人間に対し反乱を起こす農場の動物たちを描く寓(ぐう)話(わ)SFの傑作『新訳 動物農場』。丁寧語の新訳が醸すお伽(とぎ)話的な語りが、全動物の平等という理想を政治の道具にすり替えながら腐敗していく革命の恐ろしさを際立たせる。一九四七年のウクライナ語版刊行の折に作者が寄せた序文も所収され、スターリン体制下で反共小説として読み継がれた本作の時代性をも体感できる拵(こしら)えが心憎い。
『チータ・ユーマ』は作家ラフカディオ・ハーンの小説二点を収める。両作ともアメリカ南部およびマルティニークというフランス語の影響が残る地域を舞台に、非白人の女性たちの姿を丁寧に追う。とくに「ユーマ」は人類学調査と小説が交じり合うかのよう。合衆国の周縁に花開く非母語の世界を愛(め)でる作家ハーンの筆には、のちに来日して小泉八雲となる優しく冷静なその感性のルーツを見る思いだ。
美しい姉弟を中心とする幼(おさな)馴染(なじみ)たちの成長と愛憎を描く『恐るべきこどもたち』。性という欲望を知らなかった幼き日々、やすやすと性差を超えていとけない恋情が育まれる。それはやがて、結婚や家族との死別を経て平凡な生へと落ち着くはずだった。ところが、弟を永遠に支配しようと願う美しい姉がその純真さを貫こうと企(たくら)んだとき、その向かう先は死であった。恐ろしいものは、同時に美しくもある。だからこそ心に残る。=寄稿=























