大学医学部に通う姉がある日、統合失調症を発症する。症状が悪化しても「問題ない」と姉を医療から遠ざける両親。約23年間、家族にカメラを向け続けた著者が同名のドキュメンタリー映画で描き切れなかった「行間」を記した。
トラブルを生む外出を防ぐため、両親は姉を南京錠で家に閉じ込め、本人に無断で向精神薬を飲ませる。時代性による誤解とともに、医師・研究者だった両親のプライドや世間体も垣間見える。
家族だからこそ描けた本著だが、家族だからこそ姉を次の一歩へと導けなかった著者の葛藤が、タイトルに凝縮されている。(文芸春秋・1650円)

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2026年2月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
