『わが人生に悔いなし』
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【聞きたい。】瀬戸内みなみさん 『わが人生に悔いなし』
[レビュアー] 産経新聞社

瀬戸内みなみさん
■心動かす昭和の人々の情熱
「昭和という激動の時代を生き抜いた人たち」の来し方を聞き、1回8000字の読み切りで紹介する月刊誌連載(現在は不定期)に登場した約50人から14人を再録した。
連載の第1回(平成27年2月号)で生と死と芸術を語った美術家、横尾忠則さん。「望まなければ、可能性はない」と挑戦を続ける冒険家、三浦雄一郎さん。92歳(当時)にして「いつだって面白がりたい」と話した作家、佐藤愛子さん。東京大空襲で戦争孤児となり、戦災犠牲者の慰霊碑を個人で建てたエッセイスト、海老名香葉子さん。
海老名さんは、本書刊行直後の昨年暮れに亡くなった。話を聞いたのは10年前だが、秋に書籍化を知って自分の回を読み直し、「いい文章ですね」の感想を寄せていただけに、「昨年は戦後80年でメディアにもよく出られて、まだまだお元気と思っていたのですが…」と募る思いも。
他に椎名誠、川淵三郎、デヴィ・スカルノ、舟木一夫各氏らも。限られた取材時間のため、事前にさまざまな資料にあたり、「何でもある国会図書館が大好きに。昭和史も少しは分かるようになりました」。質問も絞り、「その方のよく知られている出来事でも、当時の心の葛藤などを聞くことで現在の姿が腑(ふ)に落ちて、理解も深まりました」。
生前最後のインタビューとなった作曲家、船村徹さんには「神さまが書いた台本のよう」と語った音楽学校での親友との出会いと別れ、戦死した実兄への思いを聞き、「なぜ(作った)曲が今も残っているかが分かった気がしました」。その「日本人の音楽を守ってきた」生涯と、残した「日本は大丈夫」の言葉は今も忘れられないという。
毎回聞いた「人生に悔いはあるか」に、「ある」と答えた人は一人もいなかった。そこから感じたのは「やりたいと思ったらやるということ。その情熱、熱量は人の心も動かします」。
さて、ご自身の人生は?
「恥ずかしい、悲しい、悔しいことも山ほどありますが、全部(やりたいことを)やって感じたこと。今、書く仕事もできて、ご飯も食べられる。とりあえずは悔いなしですね」(飛鳥新社・2200円)
三保谷浩輝
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【プロフィル】瀬戸内みなみ
せとうち・みなみ 作家。昭和42年、広島県生まれ。上智大卒業後、会社勤務、英国留学などを経て執筆活動に入る。著書に『にっぽん猫島紀行』など。


























