『聞き出せる人が、うまくいく。』
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【毎日書評】相手の言葉にならない思いを「聞き出す」5つのルール
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『聞き出せる人が、うまくいく。』(荒木俊哉 著、祥伝社)の著者は、約20年の実績を持つコピーライター。一般的には「書く」「伝える」が専門の仕事だろうと思われがちですが、聞くことも重要な役割だと考えているのだそうです。
たとえばクライアントに「今回の広告で大事にしたいことは?」と質問を投げかけた際、「インパクトを大事にしたいんですが……」というような、つかみどころのない答えが返ってきたとしても、決してそこで会話を終わらせません。
ただ相槌を打つだけではなく、相手のことばの奥にある“まだ言語化されていない思いや考え”を引き出そうとするというのです。なぜならそこに、いちばん大事なものが隠れているから。
私の仕事における「聞く」という行為は、
相手の話に共感したり、気持ちを受け止めることではありません。
相手が言語化する前の思考をつかまえることです。
私は、このことを「聞く」というより「聞き出す」に近いと感じています。
聞き出すとは、相手の頭のなかにある、まだはっきりしていない思いや考えを、一緒に言語化していくこと。(「プロローグ」より)
そのため本書においてもマニュアル的なアプローチは避け、「相手の深いことばを引き出すための聞き出し方」を明かしています。
きょうは第2章「うまく『聞き出す』5つのルール」に注目してみることにしましょう。
ルール1:まずは100パーセント受け入れる<
p>クライアントが「ああしたい、こうしたい」と、(無茶なことを含む)さまざまな要望を提示してくることはあるもの。そんなときには困ってしまうかもしれませんが、著者はまず相手のことばを「そうですよね、わかります」と、一度は100パーセント受け入れるのだそうです。
たとえ内容に矛盾があったり、実現できる可能性が低かったり、内容について思うところがあったとしても、まずは“全肯定”するということ。
なぜなら、このステップを挟むことで、相手は「この人になら話せる、話しても大丈夫だ」という安心感を抱いてくれるからです。安心感が生まれて、人は初めて本当の胸の内を話してもいいかな、という気になる。あくまで、相手の本音や言葉になっていない思いを引き出すための場づくりが大切だと私は考えています。(75ページより)
否定せず、ジャッジせず、まずはそのまま受け止める。そんなステップは、あらゆる対話の場で非常に大切。クライアントとの交渉のみならず、社内のブレスト、顧客のヒアリング、上司や部下との1 on 1などでも活用できるそうです。(74ページより)
ルール2:「でも」は使わない
もう一つ、「この人は話すに足る」と思ってもらうために意識しているのが、「でも」「だけど」「ですが」といった逆接の接続詞を使わないことです。
あなたが相手の言い分をいったん100パーセント受け入れた直後に、「でも、これは現実的には…」「うん、でも、実際は…」と否定してしまっては、せっかく生まれかけた安心感がスッと消えてしまいます。(76ページより)
「でも」のひとことが出てくるだけで、場の空気がピリッとするくらい、逆接の接続詞は威力があるもの。絶対に使ってはいけないとまではいかないものの、「聞き出す」ことにおいてはマイナスの作用が大きいわけです。(76ページより)
ルール3:相手の発言に共感も納得もできなければ発言のプロセスを探る
「そうはいっても、本当にどうしようもない発言に対して、共感や納得をしようとするというのは無理があるのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そんなときには、相手の発言のプロセスを探ってみるといいようです。
「ちなみに、どういった流れで、先ほどのような発言になったんですか?」
のように、相手の思考の過程を聞いてみる。そうすることで発言からだけでは見えてこない、その人の本音や考えが掘り起こせる可能性があります。(77ページより)
同じ案件に関わっていたとしても、「クライアントと自分が見ている景色はまったく違う」というケースも多いはず。そのため、共感も納得もできないような発言を受けることも充分に考えられます。
そんなときには、相手の発言をそのまま受け止めて感情的になるのではなく、発言のプロセスを理解してみる。そうすれば気持ちも変わってくるはずですし、そんなときにこそ「聞き出す力」がものをいうのです。(77ページより)
>ルール4:会話をするときは相手の片目を見る相手と会話をする場面、私はキャリアカウンセリングの技術を学ぶ過程で教わった「相手の片目を見る」という方法を実践するようにしています。
真正面から両目を見つめるのではなく、相手の片目だけを見る。
「片目だけを見るって相手にバレないんですか?」と思われる人もいるかもしれませんが、絶対に気づかれません。もしよければ、仲の良い同僚や友人、パートナーと一度試してみてください。(79ページより)
そうすれば相手に、「自分の話を聞いてもらえている」と感じてもらえるはず。また、こちらも過度に緊張することなく、相手の目を見ながら会話を進められることでしょう。(78ページより)
ルール5:好きなところをひとつ見つける
世代や業界が異なる人が相手だと、コミュニケーションの難易度も上がって当然。しかも、「相手との信頼感がまだ薄い」という事実も影響するものです。そこで、「考えや感情を話すに値する相手」になることを目指すべき。
そのためには、まずは一つ、目の前の相手やものの好きなところを一つ見つけることをぜひおすすめします。(77ページより)
つまり、相手をよく見て関心を持つことが、聞き出すためのスタート地点となるわけです。(81ページより)
これまで以上に聞き出すことができるようになれば、仕事でのコミュニケーションに悩み、焦ることもなくなるはずだと著者は述べています。言語化に悩んでいる方は、参考にしてみるべきかもしれません。
Source: 祥伝社


























