『幻と想 03-25 大槻ケンヂ自選詩集』
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【聞きたい。】大槻ケンヂさん 『幻と想 03―25 大槻ケンヂ自選詩集』 還暦過ぎても詩人でありたい
[文] 産経新聞社

大槻ケンヂさん
ロックバンド「筋肉少女帯」「特撮」のボーカルとして知られる「オーケン」も今年で60歳。本書は平成15(2003)~令和7(25)年の自作の歌詞から厳選した116編を書籍用に改稿した第3詩集で、年代別回想エッセーも所収した還暦記念だ。
第一章の03~05年のエッセーで40代目前での所属事務所の破綻に触れた。「事務所の倒産はこのときで3度目。だからつぶれる前の雰囲気がわかるようになった。社長が宗教や『青天井だあ』などと言い出したらやばい」と笑う。
筋肉少女帯で22歳でメジャーデビュー後、小説やエッセー、詩などの文芸活動も並行し、独特の世界観を表現。「自分の詩の世界は幻想的だ」と本書のタイトルにした。
移動中も休憩中もずっと本を読んでいることを聞きつけた編集者から「小説を書いてみないか」と誘われて創作の世界へ。平成6年刊の『くるぐる使い』は吉川英治文学新人賞候補になったが、「新人賞を取っていたら『次は直木賞だ』と勘違いして小説の沼にはまり、行き詰まって自滅していた」と話す。
本書の中では新型コロナウイルス禍の詩が印象に残っている。ライブは無観客配信が主流で入場が許されても観客の発声禁止が続いたころだ。「作詞家はみんな、コロナ禍と関係ないことを歌にしてもいいのかと迷っていた。でも誰もコロナ禍を書かないから僕が書いた」。そのひとつ、「COVID―19」は誰もがあのころに抱いていた不安をまっすぐつづった。
<世界の果てと 人の心を暴いた 誰が誰を守るのか 誰に本当に会いたいのか>
文芸活動は音楽家としての劣等感の裏返しだという。「楽器ができないのでボーカルをやり、デビュー数年で日本武道館のステージに立てたが、自分は音楽を学んでないので『僕がやるべきことはなんだ』とずっと考えてきた。特に詩は他の人が書かないものを書こうと頑張ってきた」
好きな詩人に散文詩の粕谷栄市をあげ、音楽界では森高千里の作詞を「切り口が鋭い」と評する。「60歳を過ぎても、僕はいつでも詩人でありたい。自分はこれからどんな詩を書くのだろう、とわくわくしています」(百年舎・3520円)
斎藤浩
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【プロフィル】大槻ケンヂ
おおつき・けんぢ 昭和41年、東京都生まれ。小説では平成6年に「くるぐる使い」、7年に「のの子の復讐(ふくしゅう)ジグジグ」で星雲賞を連続受賞。詩集に『花火』など。


























