『人生を輝かせる100の言葉』
- 著者
- オリソン・マーデン [著]/上野 陽子 [著、編集]
- 出版社
- Gakken
- ジャンル
- 社会科学/社会科学総記
- ISBN
- 9784054070899
- 発売日
- 2026/03/27
- 価格
- 1,650円(税込)
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【毎日書評】人生を切り開く力は自分の内にある。「仕事」への迷いが晴れる考え方
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
オリソン・マーデンは、現代の自己啓発思想の源流を形づくったアメリカの思想家であり、成功哲学者です。
アグレッシブな思考と努力の価値を説いた彼の著作は、欧米を中心に長く読み継がれてきました。代表作『前進あるのみ(原題:Pushing to the Front/1894年)』は25か国で刊行されて世界的なベストセラーとなり、日本でも多くの読者に親しまれています。(「はじめに」より)
『人生を輝かせる100の言葉』(オリソン・マーデン 著、上野陽子 翻訳・編著、Gakken)の翻訳・編著を務めた上野陽子さんは、本書の著者であるマーデンについてこう説明しています。
思想の核心は、「人生を切り開く力は、自分の内にある」ということ。
そして彼が考える成功とは、「自分の可能性を信じる姿勢」「粘り強く行動し続ける力」「小さな努力を積み重ねる習慣」が組み合わさることで形づくられるもの。
そんなマーデンのことばをまとめた本書の特徴は、「充実した人生」「幸せな暮らし」に注目している点です。私たちの日常のなかで実践できる、心のあり方や生き方についてのことばやエピソードが幅広く紹介されています。
きょうはそのなかから、Chapter 4「仕事に情熱を注ぐ」に焦点を当ててみたいと思います。
洗練された仕事の裏にあるもの
納得のいく仕事は
一朝一夕で成し遂げられるものではない。
忍耐強く、不断の熱意をもって臨むことだ。
(90ページより)
本当に価値のある仕事は、その場の勢いだけで生み出せるものではありません。“その仕事を完成させるまでに、どれほどの時間を注ぐ覚悟があるのか”を見据えることが重要なのです。たとえばその心理を物語る例として、ここでは妥協を許さない作家たちの姿が紹介されています。
そのひとりが、「私の軽やかで美しい文体は、絶え間のない不安と消しゴムによってつくられた」と語ったフランスの啓蒙思想家ルソー。つまり彼の洗練された文章の裏側には、何度も書きなおす粘り強さがあったということです。
いわば、“物事の完成度の高さは才能ではなく、忍耐の量で決まる”ということを、身をもって示してくれています。
『クリスマス・キャロル』で知られるイギリスの作家ディケンズも、同じ姿勢を貫いた人物。彼は急に朗読を求められたときに「時間が足りない」と答えたそうですが、それは作品を朗読するために6か月間、毎日読み込む作業を欠かさなかったから。
周到な準備と忍耐強く行われる練習が、彼の表現を支えていたというのです。
そしてマーデンはこれらの事例をもとに、「平凡な作業でも、忍耐強く集中しなければ人の役には立たない」と説いています。一行、一朗読、日々の積み重ねに妥協しなかったからこそ、作品は時代を超えて残ったということ。
日々の積み重ねの大切さは、いうまでもなくビジネスパーソンにとっての仕事にもあてはまるものです。(90ページより)
あらゆる経験から学ぶ
自身が組織の中核を担うかのように
学び、考え、工夫をすれば、
得られるものは大きくなる。
(94ページより)
仕事を単なる「給与を得るための手段」と考えていた場合、そこから得られる成長には限りがあります。「自分を鍛える修練」であると捉え、あらゆる経験から学ぼうとする姿勢こそが大切なのです。
自分が組織の中心を担う存在だという意識で学び、考え、創意工夫を重ねていけば、たとえ同じ仕事であったとしても、そこから得られる成果や成長は大きく変わってきます。
ドイツ帝国の宰相ビスマルクも、若い頃は、わずかな給与の書記官や外交官として働いていました。どの役職も国家を動かすための訓練の場と受け止め、戦略や交渉の術を吸収し、目の前の職務に全力を尽くしました。
やがてこの姿勢は評価され、次第により大きな任務を任されるようになります。そして、ビスマルクを育てたこの時代こそが、後に真のドイツ帝国を築く上で極めて重要な時期だったといわれています。(95ページより)
目の前の仕事を単なる生活の手段と見るか、それとも将来に備える鍛錬の場と見るか。どちらを選択するかによって、仕事への姿勢は変わってきます。そして、その意識の差が日々の取り組み方を変え、やがて人生の進路そのものに大きな影響を与えていくのです。(94ページより)
よい評判は効果的な宣伝
良い評判を得ることほど効果的な宣伝はない。
誠実さと公正さで仕事を続ければ
評判はやがて名声へと育つことだろう。
(102ページより)
統計的品質管理の父と呼ばれたウォルター・シューハートは、「品質を決めるのは顧客であり、それに応えることが生産者の使命である」と述べています。事実、長い歴史を持った有名企業の多くは、自社の評判をもっとも貴重な財産とみなし、不完全な製品に自社の名を冠することを許さないもの。
もちろん企業ばかりでなく、評判は私たち自身にとっての資本です。
「この仕事に自信を持って臨む。うまくできたかどうかではなく、自分にできる精一杯の仕事を完全にやり遂げる。この仕事で評価が決まってもかまわない」
そんな覚悟を持って仕事と向き合うことで、評判はやがて名声へと育っていきます。(102ページより)
1項目=1見開きのシンプルな構成になっているため、興味を持ったところから気軽に読めるところも魅力のひとつ。時代を超えた普遍的なメッセージを、ぜひとも日常に活かしたいところです。
作家、書評家、音楽評論家
印南敦史
1962年東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」「qobuz」などにもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。@innamix/X
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