『思考をアップデートする全技術 うまくいく人はなぜ、考えを柔軟に変化させられるのか?』
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【毎日書評】「遅刻はダメで、残業はOK」の違和感…モヤモヤを手放す、思考のアップデート
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
日常生活においては、「世間的には当たり前だと思われているけれど、なにか引っかかる」「これでいいと言われているけれど、そもそもなぜこうなるのだろう?」というように、“当たり前”を疑いたくなることがあるもの。とくに仕事の現場では、口に出しにくい疑問も出てきそうです。
しかし、この点に関して、『思考をアップデートする全技術 うまくいく人はなぜ、考え方を柔軟に変化させられるのか?』(澤 円 著、アスコム)の著者は、「世間の『当たり前』に対して疑問を持ったとき、あなたはすでに大いなる成長への一歩を踏み出しています」と述べています。
その結果、仮に「なぜそんなこともわからないんだ」「そんなことは常識だろう」というように反発されたとしても、「失敗した」などと落ち込む必要はないというのです。
なぜなら大切なのは、「当たり前」に対して疑問を持つこと。そして、「思考を一歩アップデートさせた」と考えることだからです。
「当たり前」という思い込みに疑問を感じること。それは自分が変わっていく過程において、重要なシグナルなのです。だから勇気を出して、あなたのなかで生まれた疑問を大切にしなければなりません。(「はじめに」より)
本書には、そんな自信と勇気を持つ方法についても書かれています。そして通底に流れるメッセージは次のとおりです。
《常識に縛られた瞬間、思考はアップデートされない》(「はじめに」より)
きょうは第1章「時間についてアップデートする技術」内の、「アップデートその1 「時間」のムダに対する抵抗感をつける」に焦点を当ててみたいと思います。
技術1:人生に「終わり」があることをもっと意識する
人間が生まれてから死ぬまでの時間は有限で、その大前提は「誰もが平等である」こと。寿命の長さは異なりますし、いつ、どのタイミングで死ぬのかもわかりません。しかし、いずれにしても人生に「終わり」はあるのです。
そして私たちは、その「終わり」に向かってつねに前へ進むしかなく、後退することは不可能。つまり、「自分の命の時間は増えることがなく、残り時間は減っていくしかない」のです。
この事実を頭に刻み込み、「時間」に対する概念をアップデートしてほしいと著者は述べています。なぜなら、直面している仕事や生活上の問題の多くは、「時間をムダにしていること」「時間のムダに対する抵抗感が薄れていること」によって引き起こされているものだから。
《時間は有限であり、ものすごく貴重なもの》
これが本当に納得できたら、あなたの未来は俄然、明るくなるでしょう。
まず、時間の使い方が丁寧になり、その時間をもっと有意義に過ごそうとして「質」の面を大切にし始めます。
同じ時間を過ごすなら当然快適なほうがいいし、楽しいほうがいいし、意義あるほうがいいですからね。
また、自ずと他者の時間をムダに奪うこともなくなります。自分の時間を大切にできるようになると、自分だけでなく周りの人間まで幸せにしていくのです。(32〜33ページより)
地位や属性などには個人差がありますが、時間は誰にも等しく与えられています。みんな同じ条件のもとで生きているからこそ、「終わり」を意識することには意味があるのでしょう。(31ページより)
技術2:意味のないルールや時間の考え方を破ってみる
著者は日本企業特有のマインドセットとして、「遅刻に厳しく、終わりの時間にはゆるい」ことを挙げています。
たしかに、遅刻したら怒られる反面、夜は数時間残業していたとしても、怒られるどころか「がんばっているな」とほめられることすらあります。もちろん遅刻はよくないことですが、ここに矛盾があるのもまた事実かもしれません。
著者も、「会社とは、あくまでも利益を出す場所なので、これらはまったく意味のない行為」だと指摘しています。だからこそ、そういった意味のないルールや時間についての考え方を、いまこそ各人がアップデートしなければならないのだとも。
『それって本当に効率がいいの?』
『そのことで何かを生み出しているの?』
『誰かが幸せになるものなの?』
(36ページより)
「当たり前だから」と続けていることに対して、ひとりひとりが自覚的に、自ら問いかけてみる――。いまこそ、そうしたことに大きな意味があるのではないかということです。(33ページより)
技術3:「公平」を重視するあまり、生産性を下げていることに気づく
著者は、「なぜ全社員が同じ時刻に出社する必要があるのでしょうか?」と疑問を投げかけています。しかも、全社員が同じ時刻に出社しなければならない理由は、「不公平になる」ということだったりします。
現場では時間で区切ってタスクを回さなければならない面もあるので、みんなが同じ出社時間である必然性はあるかもしれません。でも、本社や本部の社員にはなんの関係もなければ、必然性もありません。
ましてや朝9時に出社しようとすると、電車も道路も混んでいるし、エレベーターは長蛇の列。これでは、社員の生産性はまったく上がりません。
であれば、朝7時に出社して、15時に仕事を終わらせて帰るほうがよほどいいでしょう。もちろん、昼ごろに出社して夜に終わることだってありですよね。(38ページより)
そういう考え方ができない会社が多いのは、心のどこかに「現場は早くから働いていて悪いから、それに合わせよう」という日本人特有の気質があるからではないか? 著者はそう感じてしまうといいます。
いずれにしても、時間についてまずアップデートするべきは、従来的なルールに疑問を持つことなのかもしれません。(36ページより)
2021年4月に発刊された『「疑う」からはじめる。』をアップデートした一冊。従来の価値観に縛られることなく、考え方を時代に合わせて柔軟に変化させられるようになるために、参考にしてみてはいかがでしょうか。
作家、書評家、音楽評論家
印南敦史
1962年東京都生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ライフハッカー・ジャパン」で書評連載を担当するようになって以降、大量の本をすばやく読む方法を発見。年間700冊以上の読書量を誇る。「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.jp」などのサイトでも書評を執筆するほか、「文春オンライン」「qobuz」などにもエッセイを寄稿。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社、のちにPHP文庫)、『書評の仕事』(ワニブックスPLUS新書)など多数。最新刊は『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』(光文社新書)。@innamix/X
Source: アスコム


























