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月日のように疾走する言葉のリズム……沖縄出身の新人作家の小説が文庫化
[レビュアー] 小平麻衣子(日本文学研究者)
小平麻衣子さん(日本文学研究者)のポケットに3冊
〈1〉『月(ちち)ぬ走(は)いや、馬(うんま)ぬ走(は)い』豊永浩平著(講談社文庫、770円)
〈2〉『文学ノート 付=15篇』大江健三郎著(講談社文芸文庫、1870円)
〈3〉『カジムヌガタイ――風が語る沖縄戦』比嘉慂(すすむ)著(ちくま文庫、1100円)
月日のように疾走する言葉のリズム。〈1〉のタイトルは沖縄の「黄(く)金(がに)言(くとぅ)葉(ば)」だという。作中のラップミュージックで示唆される通り、かつてと今に点在する14人の語りが、曲をミックスするようにつながれていく。アメリカルーツの子ども、出撃しない特攻兵、コザで働く女性、朝鮮人……。ラップが既存の曲をサンプリングして反復するように、報道や歴史に表れる事件はパターン化されてもみえる。いわくトラウマ、ドラッグ、性暴力、闘争。しかしその一つ一つが掘削され、血が盛られた言葉によって生きなおされる。
大江健三郎が沖縄について書いたことも想起される。〈2〉は大江の1973年『洪水はわが魂に及び』執筆時の「ノート」。書くとはどのような行為か重く問われる。歴史を扱っても「小説には、それを書いているいま、現在の時をあたえたい」。〈1〉には同じ姿勢を見(み)出(いだ)せると同時に、大江の言い方で言えば「女の論理」ではなく、女の「眼」(=視点)が設(しつら)えられていると言えるだろう。
〈3〉も沖縄戦を描くマンガ。沖縄の人々は、米軍のみならず日本軍によって深く傷つけられている。読み進めるうちに希望が見えるように思うが、そのたび、自分は誰の立場で読んでいるのか、はっとさせられる。小説やマンガは読者をやすやすと他者の立場に立たせる。それは暴力でもあり、それでもやはり何かに気づかせてくれるものでもある。=寄稿=























