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善く生きるための原理は意外なほど簡素だ……真実を伝える文庫3冊
[レビュアー] 勅使川原真衣(組織開発コンサルタント)
勅使川原真衣さん(組織開発専門家)のポケットに3冊
〈1〉『三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾 増補版』近藤康太郎著(CEMH文庫、990円)
〈2〉『やめる 最良の人生戦略』ジュリア・ケラー著/児島修訳(日経ビジネス人文庫、1210円)
〈3〉『コロナが去って、アジアを旅する』下川裕治著(朝日文庫、990円)
「懸命に生きる」と聞くと、どんなことを思い浮かべるだろう。汗かきべそかきしゃかりきになること? 弱音を吐かずに何事も続けること?
『三行で撃つ』は、文章術の本でありながら、書くとは自身の生を自身の頭と身体を通じて全うすることなのだと迫ってくる。うまい文章とは、自身のひたむきな生き様を、独りよがりにならずに他者へ繋(つな)ぐ営為なのか。早く出会いたかったと地(じ)団(だん)駄(だ)を踏むような一冊。
『やめる 最良の人生戦略』は、反対側から同じ地点に立つ。努力や忍耐を美徳とする社会で、「やめる」を敗北ではなく自らの選択として捉え直す。やめないことが目的になれば、いつしか人生の主語まで他人に渡しかねない。自分の内なる「もう違う」という声を無視しないこともまた、自分を生き切ることに他ならない。
『コロナが去って、アジアを旅する』では、オンライン化やキャッシュレス化、円安で様変わりしたアジアを、著者が自分の身体で確かめていく。世界がいくら変わろうとも、旅の根はシンプルだ。自分で行き、見て、感じる。
三冊は説く。善く生きるための原理は意外なほど簡素だ、と。感じる。やめる。選ぶ。歩く。考える。ことばにする……外から与えられた物差しではなく、自分の感覚を頼りに、選び直す。懸命に生きるとは、むやみに頑張ることではない。自分の生を、自分で確かめ続けることなのだ。=寄稿=





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