第2回 バッグを買うのはどんなとき?

バッグのために書いている

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©カメダ
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 バッグに関するエッセイ連載も二回目だ。初回はバッグの歴史から紐解く「バッグとは何か」問題を語った。けっこうガチな内容だなと思った方も多いでしょう。オタクが推しについて語る連載なのでね。水は低きに流れ、人は易きに流れるように、オタクはガチに流れるものです。

 ただ、私が楽しく語っているだけではダメなわけで、読者の皆さんには通読に要したコスト以上の満足感を持ち帰ってほしい。商業作家として当然持っている思いだ。具体的には、バッグを選ぶとき、買うときの失敗が減るコツなどをお伝えしていけたらいいなと考えている。(特に誰にも求められていないのに)日々バッグと向き合う時間を過ごしてきたので、私がかけてきた労力を皆さんに還元できると嬉しいです。

バッグを買うときに私たちが買っているもの

 まずは「バッグを買う」という状況を考えてみましょう。皆さんはどんなときにバッグを買いたくなりますか。進学や就職、転職、出産といった人生の節目で買う方も多いでしょう。あるいは、海外旅行で免税店を訪れたときだったり、ファッションビルのセール期間中だったり等、お得に買えるなら買っておこうかなと考える人もいそうだ。そもそもバッグに興味がないし、必要なバッグはすでに持っているので新しく買いたいと思うことがない人もいるだろう。

 私は普段からバッグに浸りすぎているので、改めて「バッグを欲しい」と思うことももはやないのだが、強いて言うなら、日々新作のバッグを見ていて「これは良い品だな」と思うとき、欲しくなる。そのブランドの歴史や精神を受け継ぎつつ、昨今のトレンドを反映しているのにもかかわらず、「見たことがない」「新しい」と感じさせるデザインであり、かつ使いやすそうなものである。

 昨今で言うと、2022年にマクシミリアン・デイヴィスがフェラガモのクリエイティブ・ディレクターに弱冠26歳で就任し、2023年春夏ランウェイショーで発表したコレクションがとても良かった。ブランドが大切に守ってきたクラフトマンシップ、職人っぽさ、あえて悪くいえば多少の無骨さを保持しつつ、ミニマルでモダン、シャープなデザインに仕上がっていた。無骨なのにシャープってどういうこと?と思うのだが、WANDAというバッグを見てほしい。ブランドのアイコンであるガンチーニクロージャーが両サイドに施され、とても「フェラガモっぽい」印象だ。革は硬く成形され、持ち手はしっかり太いので、エレガントというよりはやや無骨なのだが、光沢のある素材感と無駄のないデザインによってモダンかつシャープな印象になっている。無骨でシャープという二つの要素が合わさると、力強さが出るんだなあと驚いた。現代的な女性像をピッタリ表すような良いバッグだ。

 けれども私は買わなかった。というのも、このバッグ、容量がマジで小さいのだ。サイズによってはスマホもぎりぎり入らない。パーティバッグにするにも不便だ。審美だけを考えると、このデザイン、このサイズがぴったりだから、ただサイズを大きくすればいいというものでもない。見た目はすごく良いけれど、使いにくいバッグだな、と思った。とはいえ、新しいデザイナーが就任して、一発目のコレクションだから、自分のセンスを先鋭的に叩きつけたという意味では成功だったのだろう。引き続きフェラガモを注視しなくては(と誰にも頼まれていないのに)私は決意した。