第5回 革製トートバッグのおすすめはこれだ!
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バッグエッセイ、早くも5回目を迎えた。前回は、「A4が入るトートバッグ」のうち、布製・ナイロン製のものを紹介した。今回はレザー製のものを中心に、もう少し高価格帯のトートバッグを紹介していく。ただその前に、一部界隈で悪評高いPVC加工のトートバッグについて語りたい。
時を遡ること100年超、1888年にジョルジュ・ヴィントン氏がダミエ・キャンバスを開発した。当時のルイ・ヴィトンはトランク製造を中心に鞄作りを行なっていた。当時のトランクには豚革などが使用され、水に弱いという欠点があった。そこで、長旅に耐える防水性と耐久性を持った軽いトランクを作ろうと試行錯誤を繰り返し、出来上がったのが防水加工付きキャンバス素材「トワル地」である。さらに、1896年、ルイ・ヴィトン氏の息子ジョルジュ・ヴィトン氏が模造品対策としてトワル地でモノグラム・キャンバスを開発した。いわゆる「ヴィトンのモノグラム」の起源である。現在は、綿素材にPVC(ポリ塩化ビニル)加工を施した生地を主に使っている。
同様の「綿素材+PVC加工」の生地は、様々なハイブランドで使用されている。グッチ、ゴヤール、エトロ、コーチ、マイケル・コースなどである。多くの場合、ブランド名やロゴが前面に記されるデザインになっているため、しばしば「ダサい」と称される。
曰く、一見してブランド名がわかるバッグを持つのは虚栄心の表れである。上質なレザーバッグが高いのならばまだ理解できるが、本革ですらない「塩化ビニルコーティングのバッグ」に何十万も出すなんて……モノを見る目のない女どもが広告に踊らされてブランド名に金を払っているのだ……などという言説がいまだに見受けられる。
こういう意見、もう本当に「うっせーよ!」である。バッグのことをたいして知りもせず、使ったこともないような人に限って、上記のようなことを言う。いわば外野のヤジである。
声を大にして言いたいのだが、PVC加工のバッグは、大変使いやすいです!!! 水に強く、燃えにくく、酸や薬品に対しても強く、乾燥にも湿気にも強い。汚れにくく傷つきにくい。当然のように丈夫だ。そして何より、軽い。たくさんの荷物を雑に入れて、ガンガン使いたい「トートバッグ」には打ってつけの素材である。
高温になると表面が溶けるらしいが(試してみたいけど試してみたことはない)、どんな素材のバッグでも高温にさらされれば劣化するだろう。
もちろん、PVC加工素材の財布などを毎日10年以上使っていると、端の方から捲れ上がったり、生地が劣化したりすることはあると思う。だがレザー製で同様の使い込みをした場合、もっと劣化が進んでいるはずだ。
ブランドが一見して分かるデザインがダサいという意見も分からないことはない。が、それはどちらかというと、服装を含めたセンスの問題だろう。ヨーロッパの街中を歩く女性は、全身を黒、ネイビー、カーキなど、シックな色合いでまとめていることが多い。そんな服装に差し色として持つには、ちょうどいいデザインだ。日本のファッションは欧米と比べるとラブリーかつキュートな方向に寄っていて、カッコいい方向のカジュアルが苦手なので、カジュアルの権化のようなPVC加工バッグをうまく持ちづらいのだろうと思う。
筆が乗ってきたのでついでに言わせてもらうと、公人でもなんでもない一般女性が、ブランドバッグを持っていて何が悪いんでしょうか。PVC加工のバッグは、ハイブランドバッグの中でも比較的リーズナブルで実用的な「カジュアルバッグ」である。社会人がコツコツお金を貯めて購入することができる価格帯なのだから、それを自己顕示欲だなんだと言ってくるやつは、家に帰って自家栽培の豆苗でも食べていろと思う。
何だかPVC加工バッグの回し者みたいになってきたけれども、とにかく使いやすいのだということを伝えたかった。
私の個人的なおすすめは、ルイ・ヴィトンのネヴァーフルとゴヤールのサン・ルイやアルトワである。どれも定番だが、何でも入って軽いのがいい。若い頃に試してみてイマイチ似合わなかった人も、歳を重ねてからもう一度店頭で試してみてほしい。不思議なことに、年齢を重ねて身体に貫禄が出ているほうが似合うからだ。ただこのタイプのバッグの最大の欠点は、肩紐が細いことである。
細い肩紐で重い荷物を下げると、肩への食い込みが強くなり、痛くなってくる。これは確かに問題である。気になる人は、やはりレザー製のトートバッグを選んだほうがいい。レザーバッグは一般に重いが、一枚革で裏地がないタイプを選ぶと比較的重さを抑えられるだろう。色は正直何色でもいいと思う。「おおいに好きな色を選べ!」と言いたい。なぜなら、A4が入るサイズの上質なレザー製トートバッグはほとんどの場合ワンカラーなので、何色であったとしても案外服から浮かないからだ。こだわりがない人は、とりあえず黒、キャメル、トープ、グレージュあたりを選んでおけば間違いない。


