第8回 年始のバッグ・パトロール結果をご報告!

バッグのために書いている

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©カメダ
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 あけましておめでとうございます! 執筆から公開まで多少のタイムラグがあると思うが、この原稿は年明け早々に書いています。

 バッグオタクは年始から忙しい。
 まず、今年2026年はルイ・ヴィトンのモノグラム誕生130周年にあたる。1月1日から130周年を祝う「モノグラム・アニバーサリー」コレクションが発売された。年明け前から「モノグラム・アニバーサリー」コレクションについては話を聞いていて、購入予約をするかどうか尋ねられていた。写真で確認した限りでは、自分がどうしても使いたいというほどではなかったので購入予約はしなかった。ただ、速攻で売り切れるだろうなと思っていた商品群は、案の定、年を越してすぐにオンラインサイト上で売り切れていた。

 自分では買わないとしても、後学のために(?)実物を見ておきたい。そこで年明け早々、店舗に足を運んだ。だが店舗入荷分もすでに売り切れているようだ。入荷予定数のすべてが入荷済みではないだろうから、今後少しずつ入ってくるものもあると思う。どこかで実物を見られるといいが。こんなに見たくなるなら、購入予約を受け付けていた年末のうちに、サンプル品を見ておけばよかったなどと思うも、時すでに遅し。

 バッグに興味がない人からすると、年始早々何をしているのだという感じだと思う。ただ、バッグオタクの日常的なバッグ・ウオッチング活動は、このような感じで進んでいくのだとお分かりいただけただろうか。

 実はもう一つ、気になる商品があった。昨年末、ボッテガ・ヴェネタがブランドのアーカイブとして長く親しまれてきた「ヴェネタ」モデルを再構築した新モデルを発売したのだ。イントレチャートと呼ばれる革の編み込みで、身体に柔らかく沿うホーボースタイルを実現しているバッグだ。「ボッテガ」と言うときに皆がイメージするアイコンバッグでもある。初めて登場したのは2002年らしい。私の記憶では、そこから2020年頃までは販売されていたと思う。

 実は、ヴェネタは個人的に思い出深いバッグだ。学生時代から店舗で実物を見て、いつか欲しいと憧れていた。9年ほど前、弁護士として働き始めた頃にやっと一つ購入した。あの頃は、辛いことが重なっていた。大手の法律事務所に就職したものの、膨大な業務量に押しつぶされそうになっていたし、自分には弁護士としての適性がないことにも気づいて、心身ともに疲弊していた。当時同棲していた彼氏がうつ病になり、家に帰っても気持ちは休まらない。
 そんなとき、郷里の父が心臓発作で倒れたという一報が入った。一命は取り留めたものの、どれだけの後遺症が残るか分からないらしい。「とにかく一旦帰ってこい」と言われ、故郷に帰る飛行機に急ぎ乗り込んだ。その際に持っていたのが、「ヴェネタ」である。革が柔らかくて形が丸いので、小脇に抱えると、ふっくらとした安心感がある。飛行機の中でヴェネタを赤ん坊のように抱えていた記憶がある。正式な色名は忘れたのだが、グレーとブラウンの間くらいの色で、サイズはミディアム。25歳当時の自分には大人っぽすぎて、十分に活用できたとは言い難い。しばらく経ってから手放してしまったのだが、今でもたまに思い出す「マイ・アーカイブ」的バッグだ。

 ちょうど同時期、ボッテガ・ヴェネタというブランドには変化が訪れていた。2018年にクリエイティブ・ディレクターとして就任したダニエル・リーが「新生ボッテガ」とも呼べる商品群を次々に生み出していたのだ。
 従来のヴェネタに結び目をつけて現代的にアップデートした「ジョディ」が発売された。女優のジョディ・フォスターがパパラッチから逃れるためにこのバッグで顔を隠したため、ジョディと名付けられたというサイド・エピソードがある。モナコ公妃のグレース・ケリーが妊娠したお腹を隠したことから名付けられた「ケリー」バッグの逸話を踏襲しすぎていて、「あ〜はいはい、そういうブランディングですか」と逆に興醒めである。とはいえ、コマーシャルな価値付与方法はさておき、バッグデザインとしては大変イケてるうえに新鮮で、衝撃を受けたのを覚えている。
 さらに、従来のイントレチャートよりも編み込みの幅を広くした「マキシ イントレチャート」が生み出される。2020年末には力強く明るい緑色のアイテムを発表。従来の「品はいいけどちょっと地味」なイメージを刷新し、ポップでモダンな「新生ボッテガ」を打ち立てたと言ってもいい。ダニエル・リーのデザインは若者世代に特に受けていて、インスタグラムなどでも使用画をよく目にした。