第三回 哺乳類として生きるいばらの道

教えて田島先生! 楽しくてやめられない生き物のおはなし

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©さはら そのこ
©さはら そのこ

 年明けすぐに、東京都の三宅島に行ってきました。
 といっても観光ではなくクジラの生態調査です。
 北半球が冬季になると、大型のヒゲクジラたちは寒い高緯度海域のエサ場から暖かい低緯度海域に移動して出産・子育てをするために、北から南への大規模回遊に出発します。ちょうど今時期の北太平洋では、体長14mほどになるヒゲクジラ類のザトウクジラが出産・子育てのためにはるか北のベーリング海からハワイ、小笠原、沖縄の繁殖海域に来遊し、現地ではホエールウオッチングが真っ盛りです。

図1 ザトウクジラ 画像提供 国立科学博物館
図1 ザトウクジラ 画像提供 国立科学博物館

 その通り道? または繁殖海域の1つ? とされる三宅島でも近年多くのザトウクジラが目撃されるようになり、そのザトウクジラの噴気(頭部背側にある鼻の穴から出る呼気、ブロー)をドローンを使ってサンプリングし、北太平洋の他の海域のザトウクジラとどういう血縁関係にあるのか? なぜ三宅島周辺で観察されるようになったのか? 温暖化のせい? 生態系に何か起こっている? 彼らの健康状態は? などをそのブローサンプルから色々と探るプロジェクトを進行中なのです。
 5月の大型連休あたりまで日本を含む繁殖海域で過ごし、大きくなった子クジラと共に母クジラや他のクジラたちはまた北のベーリング海を目指し、今度はそこで豊富なエサ生物をひたすら捕食しどんどん大きくなり、また翌年の同じ時期に日本の各地へ戻ってくるサイクルで生活しています。
 その距離、何と! 5000キロとも7000キロともいわれており、人間の想像を簡単に超えてくる数字を彼らは毎年移動しているのです。

 ところで、そのザトウクジラを含む鯨類、鯨類を含む海棲哺乳類は字の如く、生物学的に哺乳類に分類され、我々人間と同じ仲間です。
 哺乳類とはどこに棲んでいて、どんな形をしていても、「乳」という栄養源で子どもを育てる類いを指します。つまり、生活圏が陸上でも海洋でも、四足歩行で毛むくじゃらでも、水中を遊泳して体表がツルツルでも、我々のように二足歩行でも哺乳類だ! として生きることはできるのです。

図2 ヒトの哺乳 撮影者 ACworks
図2 ヒトの哺乳 撮影者 ACworks
図3 犬の哺乳 撮影者 はむばん
図3 犬の哺乳 撮影者 はむばん
図4 イルカの哺乳 撮影者 M@2co
図4 イルカの哺乳 撮影者 M@2co