イラスト 星野ロビン
イラスト 星野ロビン

 最後にAB型。
 クレバーで気が多いタイプのAB型人間には、次の4冊がおススメです。

 ①地下街の雨
 ②蒲生邸事件
 ③桜ほうさら
 ④ペテロの葬列

 いろんなタイプのミステリーが収録された①は、初期の現代もの短編集。特に表題作はドンデン返しのある手の込んだ作品です。『我らが隣人の犯罪』とは少し趣向が違っているので、併せて読んでみて下さい。
 ②は、古今東西のSF作品のなかで疑いなく最高傑作の一つに挙げられるでしょう。現代と、226事件のきな臭い時代の間を行き来するタイムトラベル物です。「時間旅行者は歴史を書き換えるような行動をとってはならない」という人類の掟については皆さんご存じと思いますが、何故そのおきてが存在するのか、その理由を、この物語は雄弁に語ってくれます。またラストシーンの切なさは無類です。
 ③は連作長編小説のスタイルをとる作品中の最高傑作の一つ。「一つ」と言ったのは『小暮写眞館』と双璧を成しているためです(どちらにしようかさんざん迷いました)。江戸期の充実したカルチャーを反映した職業や風物をふんだんに取り込んで、興味をそそられっ放しのディテール。一方、「母親」について深く考えさせられる点ではすこぶる現代的です。
 最後の④は、人間の業ともいえる「嘘」をテーマにした長編で、冒頭のバスジャック事件を含んだ設定からしてスリリングなのですが、その後の目くるめく展開が凄い。宮部サスペンスの一つの到達点を示す大傑作です。
 無理やり血液型を持ち出してのナビゲーションでしたが、ブラッドタイプ云々を抜きにしても、このナビを参考にして頂けたら幸いです。

(本連載は今回で最終回となります。ご愛読ありがとうございました)