第十九回 乗り物ランクアップ

それでもやっぱりすてきな明日

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©ながしまひろみ
©ながしまひろみ

 9年ほど前にパニック障害になったのですが、発症してからのネックは乗り物。だんだんうまく付き合えるようになり、数年たった今はだいたいの乗り物は平気になりました(ヘリコプター、気球、ロケットは除く)。
 未だに怖い乗り物は観覧車です。パニック障害になる前は機嫌よく乗っていましたが、あんな小さい箱に閉じ込められて、ただひたすらゆっくり回るってよく考えると恐ろしい。こればかりは一生乗れない自信があります。手違いで観覧車親善大使や観覧車アンバサダーに選ばれませんようにと祈る日々です。何の大使にもなったことないですけど。
 
 もともと遊園地が大好きだった私は、ジェットコースターには割と早い時期に挑戦しました。
 ある時、夫と二人で近場の遊園地に行き、回転しない緩やかなジェットコースターに乗ることにしました。数年ぶりのジェットコースターに緊張はマックス。
「こんなん一瞬やで。1分もないで」
 と言う夫に、
「そうだよね」
 とうなずき、座席に。安全バーを下ろされ、私は心臓が飛び出そうになるのを耐え出発を待ちました。
 いよいよという時。直前にやってきた二人組が100円つづりの乗り物チケットをスタッフに渡そうとし、風に舞うという事態が。あちこちに飛んだようで、なかなか拾いきれない様子。嘘でしょう? よりによってなんで今?
 チケットはもういいやん。とにかく行こう! ほんで、まだ100円つづりのチケットなんてあったんやな。それで、下にも落ちてるで!
 と心の中で叫びましたが、
「しばらくお待ちください」
 と言いながら強風の中、チケットを探すスタッフ。
 安全バーに押さえつけられ、荷物を預けた私は水も飲めず、薬を追加することもできず、
「もう無理やわ」
 と嘆きました。
「いけるって。集めるの諦めたみたいやから」
 とスタッフがブースに入っていったのを見て夫が励ましてくれました。
 ところが、スタッフはスタートボタンを押すのではなく、本部に連絡をしたようで、社員さんらしき人が登場。チケットを集める人が増えただけでした。
「安全バー外してください! 私がチケット全部集めてきます。いや、もうお金を払わせてください」
 と泣き叫びたくなりました。
 そして、ここから記憶がないんですよね。ジェットコースターが動き出してからは、「無」。怖くも楽しくもなく、降りてすぐに夫に引っ張られ、駐車場へ。車で寝転がったまま帰宅となりました。
 でも、この体験で鍛えられた私は、1年後には娘とUSJに行くという快挙を成し遂げました。子ども向けの乗り物しか乗ってないけど、あの時のジェットコースターより怖い思いはしてません。