第二十回 春の散髪安全週間

それでもやっぱりすてきな明日

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©ながしまひろみ
©ながしまひろみ

 書類を書くときに、たまにニックネームを記入する欄がありますが、大人になった今「瀬尾さん」「まいこさん」もしくは呼び捨て以外に呼ばれることはないので、(町田そのこさんがまいにゃんと呼びますが、そんな奇妙な名前書けます? 私には勇気がありません)困ります。
 教員時代は瀬尾ティーと呼ばれてましたがそれは苗字にティーをつけて呼ぶのが、教員同士の呼び方だっただけで、あだ名というものをつけられたことが、そもそもない気がします。
 寂しい人生だったと振り返っていたら、先日、ニックネームめいたものをつけられるという事態が起こりました。
 50年待ちに待って手に入れた呼び名は、キャサリンでもまいちゃみでもお嬢でもなく、「散髪警察」。
 私、口癖が、
「髪の毛切りました?」
 なんです。
 髪型を変えた人が目の前にいたら、思わず言ってしまうのですが、先日、春のせいか、ヘアスタイルを変えた人が4人もいたんです。
「あ、髪の毛切りましたね!」
「そうなんですよ」
 と会話をして、次は違う人と、
「髪の毛、変わってますやん」
「そうそう。短くしてん」
 と話す。
 これを4回やってると、そばで見ていたKさんに、
「なんなん。瀬尾さん、散髪警察やん。絶対見過ごさへんやん」
 と言われました。
 そうです。私は、散髪した人を必ず見つけ出し、そのことを口にする人間でした。
 そう言えば、
「髪切ったやん!」
 と数年ぶりに会う友人に言い、
「え?! 前に会ってから、髪伸びて切ってを繰り返してるしな」
 と困られることもしばしば。
 しかし、散髪警察という称号をいただいたからには気を引き締めないといけないと、その日は、
「髪を切ったのに私が気づけてない場合は、言うてくださいね」
 と謎の呼びかけをしました。
 皆さん、「なんでお前に言わんとあかんねん」と思われたはずですけど。
 しかも、Kさんに、
「でも、瀬尾さんってたまにしか髪の毛切らへんのに、誰にも何も言われへんよね」
 と言われ、
「そう! そうだわ!」
 と大いにうなずきました。
 私、半年~1年に1回しか髪の毛を切らないんです。美容院が苦手なので、長くなったら短く、を繰り返しているのです。ということは、切った時は結構見た目が変わってるはずなんですよね。それなのに、「散髪しました?」と言われることはほぼないんです。