第二十二回 これいくらに見える?
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今、私が最も信頼している作家さんは新川帆立さんだ。
と言っても、新川さんの連絡先も知らないし、交流もない。一度だけお会いしたことがあるのだが、私は緊張のあまり、
「た、滝川クリステルさんに似てますね」
と訳の分からないことしか言えなかった。私はおしゃれな人を目の前にするとビビるのだ。
挙動不審なご挨拶しかしたことがないのだから、万が一、新川さんがこのエッセイを読まれたとしたら、「な、なんで私を?」と恐怖におののかれることだろう。
だが、新川さんほど丁寧に教えてくれ、頼りになる人物を他に知らない。新川さん以上に私に的確なアドバイスをくれる人はいないのだ。そろそろ新川さんが「変な人に絡まれて怖い」と誰かに相談をし始めるころだろうが、気にせず話を進める。
私は数年前からいい鞄が欲しい、と思い続けている。
しかし、高級店に入るのは苦手だ。買うかどうかも決まってないのに、「お出ししますね」と目の前に鞄を置かれ、店員さんに注目されながら見るという行為。あんな緊張する場面が他にあるだろうか。しっかり隅々まで確認したいのにできる空気ではない。
それに、鞄を見て回ることも疲れる。あちこちの店に置かずに、1ヶ所に大きさ順にまとめて置けばいいのに、とかねがね思っていた。そんな時に現れたのが、新川さんのエッセイ『バッグのために書いている』だ。
同じ媒体で書かせていただいているので、新川さんのエッセイを軽い気持ちで読み始めた。タイトル通り、鞄についてだけをとことん語っている。なんて愉快なエッセイだと思っていたら、回を重ねるごとに欲しい情報がどんどんと出てくるのだ。
鞄についてこれほどに書いている文章はほかにないと思う。丁寧に詳細を書かれており、使い勝手、素材の状態、どういう場に持てばいいのかなど、全てがわかる。そして、もう少しカジュアルなのがお好みの人は、とか、もう少し手を出しやすい価格帯のものでは、など、提案もあるのだ。
なぜこんなにも鞄に詳しいのだろうか。新川さんは何者なのかと、ウィキペディアを見たら、作家であり弁護士でありプロ雀士だった。なんとすごすぎる経歴だが、鞄エキスパートアドバイザーも名乗るべきである。あと滝川クリステルに似てるも加えていいと思う。
新川さんは、鞄の情報を商品名で書いてくださっているので、それをネットで調べ既に3つ候補の鞄を見つけてある。もうすぐ、突然いい鞄を持ち出す日がやってくると思うので楽しみに待っていてもらいたい(誰も私の持ち物など見ていないだろうけど)。


