第四回 ④

ムーンリバー

更新

前回のあらすじ

真下蘭、27歳。夫の晶くんが事故死してからも、婚家で暮らし、〈デリカテッセンMASHITA〉を手伝っている。真下家で暮らすのは心地いいし、義理の両親も義兄弟も皆、このままでもいいと言ってくれる。けど、1年経った今、結論を出さないといけない、私が。私は、この家では血の繋がっていないたった一人の他人でしかないんだから。

イラスト 寺田マユミ
イラスト 寺田マユミ

 実家から戻って、三日目の水曜日の夜。
 優が寝るのは八時半から九時ぐらい。私がゆうと一緒にお風呂に入ると、先に優が出るのをお義母さんが引き取って私にゆっくりお風呂に入る時間をくれる。
 私が出てくるまでは、お義母さんやお義父さん、時にはしょうさんやひびきくんと一緒にアニメや映画を観ていたり、何かで遊んだりしてくれている。
 私の支度が終わると一緒に部屋で寝る。優は寝つきのいい子で、そしてほとんど途中で起きることもない。本当に手が掛からない子みたいだ。
 あきらくんに似たんだなってお義母さんもお義父さんも言う。三人の中では長男の翔さんがいちばん手が掛かって。晶くんも響くんも全然手が掛からなかったって。それはまぁ慣れたせいもあるんだろうけどって。
 優を寝かせているうちに、私も一緒に寝てしまうことが多い。それでも、私は小一時間もすると自然に眼が覚める。このままずっと寝てしまっても誰も怒らないけれども、お嫁さんとしての私の仕事は、まだある。晩ご飯の洗い物が乾いているから片したり、明日しなきゃならない買い物をお義母さんと話し合ったり、ゴミの日だったら朝慌てないようにその下準備をしたり。いろいろ、細々。
 起きて居間に戻ると、大抵お義父さんはテレビでニュースなどを見ている。ナイターが延長に入っていた日なんかはナイターをそのまま。
 お義父さんは野球が大好きで、ヤクルトファンだ。野球を観るためだけに、ネットで契約しているチャンネルもある。球場に観に行くことなんかほとんどできないんだけど、実はお義母さんも野球が大好きで、結婚記念日とかそういう日に息子たちが全部やるから観に行ってこい、って送り出すこともあるんだ。
 今夜は、ヤクルトの試合はなかった。だから、ニュースを観ている。