ほんと用うそ用日記二冊買ふ ①
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内山理子と笹野和美は中学校に入学し、同じクラスですぐ仲良くなった。くじ引きで決まった席が近く、自然とおしゃべりするうちに、二人とも父親の転勤で、小学校卒業後に他所の土地から引っ越してきたという共通点があることがわかったのだ。自治体そのものは大きいが、ここは小さな町なので、他の生徒たちはみんなご近所付き合いが濃く、保育園や幼稚園から一緒だったという組み合わせも多い。二人はそこに放り込まれた変則的な転校生の立場で、なかなか馴染みにくい雰囲気を感じていたところだったから、仲間がいると知って、互いに心がほどけるような気がしたのだった。
それぞれ一人娘で、両親との関係は良好。父親は会社員、母親は専業主婦。内山家にはペットの柴犬がおり、笹野家は保護猫譲渡会で縁があった三毛と茶トラの猫を飼っていた。家庭環境も似ていたのである。
ただ、少なくともパッと見の印象では、理子と和美は仲良しになりそうなタイプではなかった。理子は勉強もスポーツも得意な優等生で、アイドルのように華のある美少女だ。一方の和美は地味で大人しく、少しぽっちゃりしていて運動は苦手だった。理子は大勢の友達に囲まれてにぎやかな小学校時代をすごしてきたが、和美は友達が少なく、特に五年生のときはクラスの中で孤立気味で、秋の移動教室(二泊三日)にも参加できなかったという過去がある。その後は気持ちを立て直し、六年生の一年間は何とか無難に乗り切ったものの、卒業式は欠席してしまった。
そんなふうに、キャラクターは対照的な二人だったのだけれど、理子にとっては、それこそが和美の「良さ」だったのかもしれない。だんだんと友達が増えていっても、和美とも親しく付き合いを続けていた。おかげで、夏休みが始まるころには、和美は理子を中心とした五、六人の仲良しグループの一員として、居場所を確保できるようになっていた。
夏休み、授業はなくても、八月のお盆までは部活動がある。理子は水泳部、和美は文芸部の一年生部員として、毎日のように登校した。仲良しグループの他のメンバーもそれぞれに忙しく、部活が終わってから落ち合って、自販機の冷たい飲料を片手に、おしゃべりしながら帰路につくのが楽しみだった。
文系の部活に所属しているのは和美だけで、あとはみんな運動部だったので、真夏の陽ざしでどんどん日焼けしてゆく。とりわけ水泳部の理子は、
「昨日、お母さんに、歯を見せて笑わないと、どっちが前でどっちが後ろかわからないって言われちゃった」
と、本人が笑いながら言うほど見事なチョコレート色になりかけていた。
仲良しグループのなかには、水泳部員がもう一人いた。河西陽菜という、理子と同じタイプの、誰の目にもひと目でスポーツが得意だとわかる活発な女子だ。理子ほどの美少女ではないけれど、長身で手足が長く、スタイル抜群なのでよく目立った。陽菜も理子といい勝負な感じに焼けていて、夏服の白いブラウスの半袖から伸びる引き締まった腕に、和美はつい見惚れてしまったことがある。
陽菜も成績上位者で、さっぱりして明るい性格だから誰からも好かれ、友達が多い。理子と二人でいると、人気者同士のオーラが掛け合わされて、和美の目にはいっそう眩しく映った。


