湖の底

落雷はすべてキス

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眠っている人はいつも、湖の底でも息ができるような顔をしていた。誰も死なない気がしている、ぼくを愛さなくていいから誰も死なないでいてほしい、死んでしまう日が来るなら、ぼくを大切にしてほしい。置き去りにされても、先にあなたたちが死んでも、ぼくは絶望などしないから、死んでしまうならぼくを愛していってほしい。ぼくは、誰かが死ぬと愛してほしかったと泣くが、本当は死んでほしくなかっただけ。知らない誰かが死ぬたびに、愛してほしかったと泣くが、本当は死んでほしくなかっただけだ。
知らない人の死さえもかなしいのは、本当に大切な人が一人もいないからでは?と言われ、ぼくは、ずっとそれでいいと思った。誰ももう死なないなら。誰もぼくを愛さないまま、死なないなら、この星そのものが美しい湖に沈んで、消える日が来てほしい。