新しい日
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誰だって生まれてきたのは間違いで、ただ、そんな間違いで覆るものがこの世界には一つもなくて、今も静かな海がきみの前に広がっている、ぼくは、もしも自分たちに世界を終わらせられる力があれば安心しただろうって知っていて、それでもそんな日は来ないから、きみのことを愛している。きみだけが唯一これから悲しむことも傷つくこともある人であるような気がして、ぼくはきみのことを愛している。(海がずっと飲み続けている月の光のことを知らない、ぼくらの知らない場所で光っている灯台の、名前を知らない、変わらないものなんて何一つなくて、本当は全てが取り返しのつかない変化を経て、たまに傷ついて、それでも黙っている、誰もぼくらを責めずに夜の下で、変わらない美しさのふりをしている、だから不変のふりをして、ぼくはきみのことを愛している。)