浅瀬
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誰かに優しくしたときにぼくはさみしがってしまった気がして恥ずかしくなる、いくらでも1人で生きられるのに溺れるふりをして誰かが来るのを待っていた気がする(誰かに恋をしないといつまでもこれが続く)(ぼくは命を捨ててまで誰かを救うことは多分しない)(それなのに優しくてごめんね)(さいあくだ、さいあくだ、と波の音)(死んだ人みんながぼくを心配している)誰にだって優しくしている時ほど、自分以外の優しい人には会えなくて、救世主になるしかなくなる、そうやっていつか誰かに裏切られて殺されて、人生が終わる、そうやって、波の音になり、溺れるふりをする人に語りかける、さみしくて、やっと、さみしいと言えるようになるのだ(さいあくだ、さいあくだ、と波の音)きみたちのために、ぼくはいつまでもぼくのことだけを嫌いでいるよ。