天の川

落雷はすべてキス

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天の川はすぐそこ。燃えている音がする、ぼくの足首がよこたわって、自分は今眠っていると気づく、川底に横たわる星と宝石と石屑の光はどれも同じで、ぼくもいつかそんなふうになれる、骨になれば。白い骨になれば、この川に沈みきらきらと光るだろう。死ぬことは昔からとても怖いけれど死んでしまった後のこの体をぼくはたぶんだれよりも抱きしめたいと思うだろう。それができなくて、できないから、だれかにぼくの死を悲しんでほしくて、あなたの人生に無くてもよかった悲しみを宿らせたいと願っている。好きだ、死んだ人のことは悪く言えない、ときみは言った、ぼくは、ぼくのことをやっと抱きしめたくなるよ、ぼくが死んでしまった日に。遅かったと言わないでほしい、ぼくはぼくを愛せたとそれでも言わせてほしい、死んでしまったぼくはとてもかわいそうで悪く言えない、自分を愛せたら最大の幸福だと言われている海で、波音を聞き続けて生きている、いつか死ぬから許してほしい、今は許してほしい、この世界には天の川があるから許してほしい、死に際、ぼくはぼくを愛せなかったから、殺されるんだと思った、すべての人が、死ねば自分を大好きになる。