朝日
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きみの代わりに横たわっているぬいぐるみは、きみのために眠っているのかきみのために死んでいるのか、ぬいぐるみさえ知らない、きみだけが知っている、不幸でいると綺麗にみえることがあるらしい、青ざめた顔で早朝に窓から、庭の花を見ている、枯れた花もあるのに全然気にならない、きたないものがあっても、痛くはないから気にならない、朝の光があればなんでも存在する理由がある気がするし、怖くない、と呟いた。そこまで愛していないものに、一番大切な秘密を話して安心したくて、人は花を大切に育てる。枯れてくれてもだからいいのだ、醜くなってもだからいいのだ、ぼくはきみの恋人で、きみにとっての話し相手の花だなぁと思う。枯れてくれてもだからいいのだ、醜くなってもだからいいのだ、地平線の向こうから見える朝日が綺麗なら、きみはあとはどうだっていいのだ、好きだという言葉に幸せを祈る意味はない、意味はないよ、好きだという言葉だけにすがって枯れていく庭の花々は、みんなそのことを知っている。