【日本最速レビュー】BTS初のオフィシャル・ブックの内容とは? 揶揄や中傷、解散危機も語る
『BEYOND THE STORY:10-YEAR RECORD OF BTS』刊行記念特集
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2023年7月9日、世界的人気を誇るBTSの初めてのオフィシャル・ブック『BEYOND THE STORY:10-YEAR RECORD OF BTS』が、韓国オリジナル版を含む9つの言語の翻訳版で世界発売された。デビュー10周年を迎え、世界的アーティストにまで成長を遂げた彼らのオフィシャル・ブックが今までに作られなかったのは意外にも思えるが、総頁512ページにもなるその本には、何が書かれているのか。BTSメンバーは、ファンに、また世界に向けて、いま何を伝えたいのか。音楽ジャーナリストの柴那典(しば・とものり)氏が、11日に発売される日本語版を読み込み日本最速レビューをお届けする。
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台風の目の中からは、まったく違った光景が見える。周りにどれだけの狂騒があろうとも、この本の中には、とても静かな、そして深い時間が流れている。
デビューから10年。ポップミュージックの世界で歴史的な偉業を成し遂げ、各国に“ARMY”と呼ばれるファンダムを築き上げたBTSについては、これまで、沢山の書籍が刊行されてきた。現象を分析するものや、ファン目線で愛を語るものや、さまざまな言説が世に溢れてきた。けれど、『BEYOND THE STORY ビヨンド・ザ・ストーリー:10-YEAR RECORD OF BTS』は、それらとは全く異なるものだ。初のオフィシャルブックと銘打たれた本書に記されているのは、RM、SUGA、JIN、J-HOPE、JIMIN、V、JUNG KOOKのメンバー7人への長期間にわたるインタビュー取材をもとにBTSの足跡を辿る、彼らの“内側”の物語。グループがどのように生まれ、7人の結束がどのように育まれてきたのか。どんな風に苦難を乗り越えてきたのか。華々しい成功の裏側で、どんな葛藤が生まれていたのか。それを包み隠さず語った一冊だ。
読んでまず印象に残ったのは、まだ彼らが何者でもなかった練習生時代のエピソード。それぞれの故郷からアイドルグループとしての成功を目指してソウルに引っ越し、宿舎で共同生活を送っていた頃の話だ。毎日何時間も、ときにはダンスだけで1日12時間というハードな特訓に明け暮れたキツい日々だったが、しかしその頃の記憶を語るメンバーたちの言葉のトーンからは、それが決して“忘れたい過去”ではなく、むしろ“愛おしい日々”であることが伝わってくる。宿舎はヒップホップ好きな10代たちのコミュニティだった。すでにラッパーとしての才覚を発揮していたRM、高校時代からプロミュージシャンへの道を歩み始めていたSUGAの2人による“スクール・オブ・ヒップホップ”が夜な夜な開かれていた。日中はJ-HOPEが先生となって不慣れなメンバーにダンスを教えた。JINは宿舎にある食材で料理を作って振る舞った。年の違うメンバーたちが支え合う関係性が築かれたことは、その後の歩みに大きな支えとなったはずだ。


