札幌から家族みんなで上京 「おとうさんといっしょ」の“うたのおねえさん”竹内夢が語ったデビュー秘話【前編】

そして、僕たちは舞台に立っている。

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 幼児向け教育エンターテインメント番組「おとうさんといっしょ」(NHK Eテレ)で、二代目うたのおねえさんとして活躍している俳優の竹内夢さん。「おかあさんといっしょ」(同)の姉妹番組として2013年にスタートした同番組に2018年から出演し、2026年度の続投が発表されるとSNSに歓喜と安堵の声が相次ぎ、幅広い世代から支持を集めています。

 そして今夏、大型ミュージカル『ゴースト』(8月8日~9月27日公演)で、主人公の恋人・モリー役Wキャストの座を射止めました。同作は、1990年公開の米映画『ゴースト/ニューヨークの幻』が原作の日本オリジナル演出版ミュージカル。2018年の初演、2021年の再演を経て、5年ぶり3度目の上演となります。

 人生初の大型ミュージカルへの出演は、かねて公言してきた夢のひとつ。北海道札幌市で生まれ育った竹内さんは、なぜ芸能の道を志したのか。家族への思いや転機となった出来事など、これまでの歩みを前後編でたっぷりと語ります。前編では、うたのおねえさん抜擢につながった理由を初告白―。(聞き手・小川泰加)
※前後編の前編

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 はじめまして、竹内夢たけうちゆめです。「夢を抱き続ける人になってほしい」「人に夢や希望を届けられる人になってほしい」―そんな願いを込めて、親は「夢」と名付けてくれました。小学校の頃は、音楽の授業で「夢」という歌詞が出てくるたびにクラスメイトの視線が気になって恥ずかしかったのですが、今は素直に、この名前でよかったと思っています。大好きな音楽を仕事にできて、夢を持つことができて、自分の名前とともに生きている実感があるなんて、とても幸せなことです。ちなみに姉は「こころ」という名前で、正真正銘、心の優しい人。名は体を表すとはよく言ったものですね。

 歌やお芝居の道に進むきっかけになったのは、小学6年のときの学習発表会でした。劇団四季さんの公演で有名なミュージカル『人間になりたがった猫』を上演することになり、主人公のライオネル役に選ばれたんです。何人かの同級生が立候補していましたが、私が選ばれた理由は「誰よりも声が大きいから」(笑)。

 演技に興味があったわけではなく、目立ちたかっただけなのですが、“小6の夢ちゃんはソロで歌う場面で独唱の気持ちよさを知ってしまったんです! 翌年、中学1年生の学習発表会では『夢から醒めた夢』の主人公・ピコ役を演じ、「歌がうまいね」「本格的に勉強したら?」という声をかけてもらい、「歌う人」への憧れがどんどん強くなっていきました。

 生まれ育ったのは札幌です。ただ、芸能の世界を目指すなら、中途半端な気持ちでは無理だと本能的に感じていて、中学3年生のとき、「東京へ行きたい」と母に打ち明けたんです。どんなに小さなチャンスも逃したくなかった。反対される覚悟でしたが、母は「いいじゃん。行こうよ」と喜んでくれて、家族みんなで上京することになりました。母とは今でもなんでも本音で話せて親友のような関係です。

 初舞台は「『カードファイト!! ヴァンガード』~バーチャル・ステージ~」(2016年)。トレーディングカードゲームの世界観を舞台化した作品で、主人公の妹役を演じました。

 舞台の上で歌って踊る時間は本当に楽しくて。「なんて素敵な世界なんだろう!」って、どきどき、わくわくが止まらず、舞台に、歌に、踊りに、ステージに立つ度にどんどんはまっていきました。同じくらい、作品を一緒につくり上げるキャストやスタッフのみなさんのことも大好きになって、千秋楽にまた会いたいと強く感じたんです。この世界で頑張り続けていたら再会できるかもしれないという目標は大きなモチベーションになっています。

運命を変えた「おとうさんと一緒」の大抜擢

 人生の大きな転機になったのは「おとうさんといっしょ」(2018年)です。

 オーディション会場である渋谷のNHK放送センターの会議室には、番組関係者の方々がずらりと並んでいました。その前に椅子が1脚だけぽつんと置かれていて、とても緊張したのを覚えています。そこで「おかあさんといっしょ」のオリジナル曲「地球ぴょんぴょん」や「おとうさんといっしょ」のオリジナル曲「ながれぼし」を歌ったり、「子供は好きですか?」と質問されました。当時は身近に小さな子供がいなかったので、「たぶん好きだと思います」と、ぼそぼそ答えるのが精いっぱいでしたが、「(NHK内で)歌のレッスンをしてみませんか?」との提案を受け、子供向けの音程や音階を習い、改めて歌を披露したのち、合格の連絡をいただきました。

 私が選ばれた理由は、未だに聞けていません。成長過程や伸びしろを含めて評価していただいたのかな、と勝手に解釈しています。うたのおねえさんを目指して努力を重ねてきた方々や、音大を卒業された方々と比べると、経験も実力も十分ではありません。身に余る役目で、不安を抱えたままスタートしました。

 だけど、出演して1年ほど経った頃には迷いはなくなっていました。せっかくチャンスをいただいたのに、いつまでもうじうじしていられない。そう思い定めたら気持ちが吹っ切れたみたいで。コンサートで出会う子供たちの笑顔やお手紙、親御さんからの声に触れるたび、少しずつ「番組に貢献できているのかもしれない」と感じられるようになりました。そして、「私の居場所はここなんだ。手放したくない」と思うようになったんです。自分の信じた道を突き進む性格は、母譲りなのかも。今はただただ番組を通じて歌えることが、楽しくて仕方ありません…!

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【後編】「おとうさんといっしょ」降板も覚悟…うたのおねえさん・竹内夢が初の大型ミュージカルに挑んだ理由

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竹内夢(たけうち・ゆめ)

1999年10月15日生まれ。北海道札幌市出身。2018年4月より、現在はNHK Eテレにて放送中の「おとうさんといっしょ」にレギュラー出演中。Eテレ系のコンサートやイベントに多数出演し、2024年大河ドラマ「光る君へ」にも出演。2026年1月から「カワイ音楽教室」3歳コース教材曲の歌唱&メインキャラクターのCVも担当している。ミュージカルや舞台・声優など幅広いジャンルで活動中