「おとうさんといっしょ」降板も覚悟…うたのおねえさん・竹内夢が初の大型ミュージカルに挑んだ理由【後編】

そして、僕たちは舞台に立っている。

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幼児向け教育エンターテインメント番組「おとうさんといっしょ」(NHK Eテレ、通称「おといつ」)の二代目うたのおねえさんとして、子供たちや親世代に親しまれている竹内夢さん。この夏公演となるミュージカル『ゴースト』(8月8日~9月27日公演)では、ヒロインのモリー役を射止め、「本番が楽しみで仕方がない」と声を弾ませます。

オーディション合格の吉報が届いたのは、昨年8月。レギュラー出演する「おといつ」をはじめ、「おかあさんといっしょ」のキャストやキャラクターたちが総出演するイベント会場でのことでした。竹内さんはこの時、不合格だった際の“ある準備”をしていたと明かします。

前編に続き、後編ではミュージカル『ゴースト』のヒロイン・モリー役に挑む思いや、「おといつ」史上最長出演9年目を迎える番組への素直な思いを語り尽くします。(聞き手・小川泰加)
※前後編の後編

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 グランドミュージカル(大型ミュージカル)に出演したい―。

 札幌から上京し、芸能活動を始めた頃から掲げてきた大きな夢のひとつでした。だから、『ゴースト』のモリー役が決まった瞬間、すごく、すごく、すごく嬉しかったです。

 合格の知らせは、20258月に行われた「おかあさんといっしょスペシャルステージ」の会場だった、さいたまスーパーアリーナ(現「GMOアリーナさいたま」)で、本番前にマネジャーから聞きました。情報解禁までは誰にも言えなかったので、楽屋前の廊下で「やったー!」ってガッツポーズしながら小走りして(笑)。

 オーディションの結果がコンサート中に連絡が来るということは事前に分かっていたので、落ちたときのイメトレもちゃんとしていました。会場には1万人もの子供たちが集まります。たとえ落ちても舞台で泣いてはいけないし、悲しい顔なんて絶対に見せちゃいけない。それは私の信条です。

「おとうさんといっしょ」には前向きになれる曲がたくさんあります。やればできるんだ、勇気を持って前に進めば未来の扉は開くんだ。そんなメッセージを歌うたび、言葉が希望から確信に変わっていく感覚があって、いつも励まされていました。

「おといつ」を手放す覚悟も

「おとうさんといっしょ」は、18歳から関わらせていただいている人生の宝物のような番組です。ありがたいことに、ほぼ隔週収録があり、定期的にコンサートも開催されています。どんな仕事にも終わりはあると思っていますが、自分の夢をかなえる代わりに番組を離れることになるかもしれないと考えると、大事な宝物を手放す覚悟を持てませんでした。

 そうした迷いを抱えていたときに、「ゴースト」のオーディション参加のオファーをいただきました。

「このチャンスを逃していいのか」

 何度も自分に問い続けるうちに、今のキャリアをかけてでも挑戦したい“スイッチ”が入り、オーディションに挑みました。モリー役が決まると、NHKの番組スタッフのみなさんも応援してくださって、公演期間中は収録をお休みさせていただき、夏のステージは映像出演という形で参加することになりました。ご迷惑をおかけするのに快く対応していただけて、本当に感謝の気持ちしかありません。

 モリー役は、元宝塚歌劇団で娘役トップの星風まどかさんとWキャストです。私にとっては大きすぎる挑戦で、積み上げてきた経験やスキルでは、とてもじゃないけど演じられません。不安がないと言ったら嘘になります。なにしろグランドミュージカル未経験で、いきなりヒロインですから。正直、かなりヤバいわけです(苦笑)。

 ステージを成功させるには、私のレベルを上げることがマストなので、レッスン漬けの日々ですが、知らないことを知るって楽しいですよね。毎日が発見ばかりです。歌だけでなく、舞台ならではの身のこなしや所作もそう。少しずつ体になじんでくると、プレッシャーを感じてる場合じゃないぞ、やるしかないぞって腹が据わってくるから不思議です。モリー役を自分のものにできるという確固たる自信はありません。でも、私は舞台に立つんです。キャリアがないだとか、初めてだとか、言い訳を並べたりせず、全精力を注いで挑みます。

事務所の大先輩・舘ひろしの言葉

「おとうさんといっしょ」のオーディションでは、「子供は好きですか?」と質問されても「たぶん好きだと思います」と答えるのが精いっぱいでしたが、今はもう迷わず「好きです」と言えます。姉に子供が生まれたことも大きいのかもしれません。

 Eテレの番組って、人が寄り添う場所というか、たくさんのきっかけを生み出しているみたいで、「子供が初めて笑った」「初めて踊った」「お父さんの育児参加のきっかけになった」「夫婦げんかが収まった」といった声がたくさん寄せられます。亡くなったお子さんの写真を持ってコンサートに来てくださる方もいましたし、大切な人との別れを乗り越えられたというお話を聞くこともありました。そういう人たちに触れるたび、番組の偉大さを実感します。なんだかもう、いろんな気持ちがあふれてくるくらい大好き。

 これから、歌はもちろん、お芝居も極めていきたいです。役者の大先輩でもある舘ひろしさんからは「芝居は目だよ」って言われています。これ、簡単なことではなくて、なんならものすごく難しい…。それでも、知らないことを学び続けながら、この目で、見る人の心を震わせるエンターテインメントを届けていきたいです。やってやるぞー!

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 【インタビュー前編】札幌から家族みんなで上京 「おとうさんといっしょ」の“うたのおねえさん”竹内夢が語ったデビュー秘話

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竹内夢(たけうち・ゆめ)

1999年10月15日生まれ。北海道札幌市出身。2018年4月より、現在はNHK Eテレにて放送中の「おとうさんといっしょ」にレギュラー出演中。Eテレ系のコンサートやイベントに多数出演し、2024年大河ドラマ「光る君へ」にも出演2026年1月から「カワイ音楽教室」3歳コース教材曲の歌唱&メインキャラクターのCVも担当している。ミュージカルや舞台・声優など幅広いジャンルで活動中。